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〜横浜中華街〜
『天津飯店』のテーブルに3人はいた。
夕飯時を過ぎた店内には、他に客はいない。
「そんな、バカな❗️」
「剣城さん、どうしました?」
驚いた愛染由香里が尋ねた。
「なぜ爆発しない?」
「失敗か剣城、どうする?俺達2人はもう覚悟はできてる」
「私も、一緒なら怖くない。関係ない人までたくさん…殺してしまったし。捕まって塀の中で一生生きるより、一緒に死にたい」
少し考える剣城。
パトカーの音が聞こえた。
「雑魚を殺っても仕方ない」
立ち上がると、厨房の方へ行く。
「私は指名手配犯の国枝剣城です。随分前にここで、私の母が爆発で死にました。今から爆弾で私も死にます。あなた達は逃げて下さい。これはお詫びです」
唖然とする店主の前で、カウンターにスーツケースを置き、開けた。
「5000万あります。これで許してください」
スーツケースを閉じて、差し出す剣城。
「な、何も死ぬことはないだろう」
「そうよ、あなた達の事情はテレビで聞いたわ。悪い奴らをやっつけたんだから。まだ若いんだし、生きないと」
「ありがとうございます。でも、早く逃げてください。早く❗️」
剣城の顔を見て、諦めた2人。
スーツケースを持って、裏口から逃げる。
2人のもとへ戻った剣城。
バッグから小さな箱を出し、テーブルに置く。
「予定通り、店の人にはお金を渡して、裏から逃げて貰いました。後は、外の人達を遠ざけて来ます」
そう言って、もう一つの箱を手に、外へ出た。
「指名手配犯の国枝剣城だ!」
大声に、周りの人達が立ち止まった。
「今からこの店を爆破する。皆さんは逃げてください。早く❗️」
「ば、爆弾だ、逃げろー❗️」
「うわぁぁあ❗️」
慌てて逃げる人達。
それを確認した剣城。
通りの向こうから、駆けてくる警官を見る。
そして、その方へ全力で走り出した。
「どけ❗️」
予想外の行動と、手に持った箱を見て、思わず避ける警官。
「これは爆弾だ、逃げろ❗️」
そう言って、通りの入り口に停めてあるパトカーに乗り込む剣城。
人々がパトカーから離れる。
〜店の中〜
「おかしい。剣城が帰って来ない」
「声も、聞こえなくなったわ」
その瞬間。
「ヅドーン❗️💥」
剣城が乗ったパトカーが爆発した。
「あいつ!」
雅也が箱を開けた。
爆弾はなく、メモがあった。
『私の復讐に、巻き込んでごめんなさい。全て私が仕組んだこと。あなた達は手伝っただけだから、罪は軽くて済むはず。支え合って、生きてください。 国枝剣城』
「あのやろう!」「そんな、1人で…」
路地裏に逃げ込んだ2人。
爆発が、店より遠いことに気が付く。
スーツケースを置いて開けた。
「あなた、これは?」
現金の上に、一通の封筒が入っていた。
『迷惑をおかけしてごめんなさい。店は大丈夫です。これを警察に渡してください』
「あの男、最初から…バカやろうが!」
程なく、愛染由香里と雅也は逮捕された。
〜警視庁対策本部〜
横浜署からの連絡を待つメンバー。
すると、咲の携帯が鳴った。
「はい、咲です」
「刑事課の咲刑事ですね?」
「だからそうよ、咲刑事です!ちょっと待って。昴スピーカーにつないで、ラブさんにも。いいわよ」
「先程、国枝剣城が乗り込んだパトカーが爆発しました」
「パトカーで⁉️2人は?」
「逮捕しました。店は無事です。それから…国枝は、船の爆破の失敗を知った時に、雑魚を殺っても仕方ない、と呟いたそうです。愛染由香里が、彼はまだ誰かを殺すつもりだから、止めてくれと」
「黒龍会組長、山崎蘭を殺すつもりよ!」
ジェットヘリで飛行中のラブの声。
「でも…どうやって?」
「咲刑事、店の店主から、剣城の手紙を預かりました。あなたに伝えろと書いてあります」
「手紙?…読み上げて!」
「あ、はい。『咲さん。私は一人で罪を償います。全て私が考え、彼等を利用しただけ。彼等は私を手伝っただけです。あなたは刑事だから、あいつらを殺すことはできないでしょう。だから、私が、私とあなた達の両親を殺した奴らに復讐しました。どうか、手伝ってくれた彼等を許してあげてください。3人に罪はありません。お願いします。 国枝剣城』以上です」
「剣城君…」
「咲さんシッカリしてください。彼は、3人と書いてます。もう1人が山崎蘭を!」
「いったい誰?」
ラブの声が届く。
「恐らく、愛染真知子さんの元夫、剣城さんの父親だと思います。山崎蘭は、新宿ヒルトンです。そこを中心に指名手配を!」
「分かりました、ラブさん。昴写真を探して、新宿署へ送って。富士本部長!」
「名前は、鈴木和夫です!」
昴は指示される前に動いていた。
「よし、鈴木和夫を都内全区に指名手配を!」
現在の黒龍会組長、山崎蘭。
それが剣城のラストターゲットであった。
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