6章. ラストターゲット

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〜警視庁対策本部〜 ラブからの連絡が入る。 「山崎蘭は、無事に飛鳥神が守ったわ」 「良かった〜って💦なんで神なのよ⁉️」 「飛鳥組と黒龍会は和解したってことよ」 「ことよってヴェロニカ!おかしいでしょ❗️」 「さて、私の役目は終わったし、帰るわ」 「こらヴェロニカ、説明しなさいって!」 気にせずに、出て行くヴェロニカ。 うなる咲。 「いいじゃねぇか、戦争が回避できたんだ」 「そうね、淳。ラブさんのおかげね」 「紗夜さん、私は私のできることをしただけ、皆んなができることをしたからよ」 ラブの言葉に、それぞれが信頼を感じていた。 「分かりました❗️」 「何よいきなり昴、もう事件は終わったのよ」 「でも大切なことです。最初に大臣の乗った車が爆発した時の距離が、ずっと気になっていたんです」 「ハァ?距離ですって?」 「研究所から、30km。国枝剣城は、きっと30年前に鳳来美咲さんの事件から、この数字を選んだんです」 「30年前に始まった事件。その復讐を始める時に、30kmを決めた。つまり、彼は、美咲さんの復讐から始めたってことね」 昴が、「大切なことです」と言った意味が分かった紗夜。 「じゃあ剣城君は…本当に、私と美夜の復讐もしてくれていた…ということ」 「そうだ、忘れてた!これも大切なことだな」 豊川が立ち上がった。 「クラブの箱だが、サリンも何も無かった。ママさんが一時的に気を失ったのは、美夜さんが投げた中和剤の瓶が割れて、それを吸い込んだためだ。さて、俺も失礼するぜ。お疲れさん」 出てゆく豊川。 「剣城さんは、最初から美夜さんを殺す気なんてなかったのね。あれは全て、ラストターゲットの黒龍会から、目を逸らす為の演技」 「そんな…剣城君…」 「咲、後で美夜さんにも話してあげなさい」 富士本が優しくなぐさめる。 「よし❗️富士本さん。終わりましたね」 泣き出しそうな咲を気遣う、紗夜の元気な声。 「ああ。終わった。皆んなご苦労❗️」 こうして、長い年月を経て、国と闇社会の巨大な悪が、また一つ消されたのであった。 剣城の父、鈴木和夫は直ぐに自首をして来た。 愛染由香里と雅也は、剣城の告白と、国の不正を(あばき)き、闇組織の壊滅、4件の殺人事件の解決、そして復讐という悲しい事実などを(かんが)み、懲役2年の初判が下されたが、美夜と咲の控訴により、長い苦しみの年月を考慮して、情状酌量となった。 ラブは、(フー)依然(イーラン)を見捨てることはしなかった。 責め寄って来た組織や国を、片っ端から叩き潰したのである。 香港の飛鳥組と組むことを条件に。 〜今現在(ノンフィクション)〜 蛇頭(じゃとう)という国際的な犯罪組織が、中国人の海外への密航を斡旋(あっせん)しており、「スネークヘッド」とよばれることも多い。 近年日本で頻発している中国人の密航事件はほとんどこの蛇頭が関与しているという。 船の手配、旅券の偽造、密航先での就職の斡旋などを行い、世界中に出先機関を持つ。 また、背後で中国、香港、台湾そして日本の暴力団が関与しているともいわれる。 日本政府は、出入国管理法を改正して「集団密航罪」を新たに設けるなど取り締まりを強化しているが、流入の増加は止まりそうにはない。 Secret revenge. 〜闇〜  完。
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