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「お願いです、お願いですから止めて下さいっ。
この車、社名入りの営業車なんですから」
手を伸ばして口を塞ごうとすると茄乃はそれを振り払い、更に大声で泣きわめく。
「このせーたかがぁっ、口を塞ごうとする~」
「静かにして下さいっ」
「自分は大声出しといてぇっ、
『静かにしろ』って脅かしてきた~っっ」
「紙無さんっ」
「茄乃って呼んでくれなぃ~」
「ああもう面倒くさ、、、あ」
「また面倒くさいってぇ~~っっ」
「わかりました。わかりました。
前言撤回しますのでとにかく窓を閉めて下さい。
茄乃君は面倒くさい奴なんかじゃないです、これで良いですかね」
「嘘ついてる~っっ
泣き止ませたいからって、
いい歳した大人が嘘ついた~っ」
どうあっても収拾はつかなさそうだった。
我慢もここまでと瀬髙は車を車道脇に停め、茄乃の肩を掴んで振り向かせた。
「ではっ、正直に言わせてもらいますっ。
いいですか、茄乃君、
そうやって子供みたいにっ、
人の気を引こうとするところがっ、
大いに君の面倒なところなんですっ」
「う、、、」
「ぁ、、、」
─ 言ってしまった、、、
「うわぁぁ~んっ」
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