98人が本棚に入れています
本棚に追加
20分後、
───
片付けを始めた夢実の背中を追い、瀬髙は訴えた。
「仲人君困ります、お客様に対してあのような、、、
つまり我が社の品格を貶めるような提案を」
「貶めるとは心外です。
むしろお礼くらい言って下さらないと」
「僕が前の恋人を失った理由を君は知っているでしょう?」
「知ってるからこそですよ。
あの子、面倒な性格を装っているけど実際はすごく素直で良い子だと思います。
マネージャーとは相性も抜群」
「相性? どこがですか?」
「見た目とはギャップあり過ぎの溺愛執着。
それが原因で元彼ちゃんに逃げられたんじゃないですか」
「言葉を選んでください、僕は彼の将来を思って泣く泣く手放したのであって、決して逃げられたわけではありません」
「本当に好きなら逃げ出した小鳥は『重た~い彼氏』のところに戻ってくるはずでしょ?」
「それは違います、彼はきっと、、、」
「まあまあそんなことはもういいじゃないですか。
マネージャーこそいつまでも苦い過去に縛られてないで、ね?
さっさとあの子を抱いて、新しい恋を謳歌してください。
いつまでも独りでいるのはイケメンの無駄遣いですし」
夢実が促す視線の先には所在なげに佇む紙無茄乃がいた。
帰るわけでもなく、待ってる風でもない。
ただ、
何故か茄乃がそこに立ってるだけで、社の連中は異性を意識するような眼差しを向けていた。
最初のコメントを投稿しよう!