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顔を戻した瀬髙は慌てて眼鏡の位置を直し、表情をキリッとしたもので覆った。
「しかし僕は一度そう言う関係を結んでしまったら、いえ、結ぶと決めた段階で人が変わってしま」
言いかけている途中で勢いよく振り向いた夢実は、
「ああっもう面倒くさい。
だ・か・らっ、いいんじゃないですか。
ああいう子の傷口には実のところ軟膏なんかより強力なカンフル剤、つまり即ヤッちゃうってのが一番なんです!
いいですか? ここで男見せないとマネージャーは永遠に『カタブツ瀬髙』の異名を背負って過ごすことになりますよ!
それでなくても社の女子から、」
ここで夢実は天井を仰ぎ、おどけて見せた。
「『瀬髙マネージャーってぇ~、
見た目は完璧なのにぃ、
いざベッドの上ってなるとぉ、
右のおっぱい三回揉んで、
左のおっぱい三回揉んで、
どうにか挿れての三コスリ半、てイメージよね~』
なんて言われてるんですからっ」
「み、みこすりっ、、?」
「半ですけどねっ!
元彼ちゃんが逃げた理由を知ってる私は悔しいったらありません。
それはともかくとしても物件のご案内も中途半端、契約すらできてない!
ですがラッキーなことにあの子には今夜帰るところがないという奇跡のお膳立て!
ここはマネージャーが責任もってお持ち帰り下さい!
そして一晩中啼かせまくって、不倫クソ男を忘れさせてあげるべきですっ」
言い切った後、再びくるりと向きを変え、速足でロッカールームへと消えていった。
「仲人君っ」
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