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「セックスの相性は大事じゃないの?
付き合う前にヤってみないとわからなくない?」
「僕に限ってはダメなんです。
先にそういう関係になってしまうと。
、、、えっと、僕がダメなのではなく、
な、茄乃君の方が、、、」
「俺が? 何で?」
「、、、、」
瀬髙はやはり言えなかった。
ダイレクトに、
『変態とも受け取られかねないサディスティックな敬語責め、溺死させてしまうほどの重い愛情を疎まれる恐れがある』とは。
「はっきり言ってよ、驚かないから」
「つまり、、、。
社を含め、世間の皆さんが僕に持つイメージと、本当の恋人だけに見せる素の僕との間にかなりなギャップがあってですね、それがセックスの際には特に露骨に出てしまい、相手が引いてしまうので」
「ギャップ?」
探るように見つめてくる茄乃に鼓動が速まる。
瀬髙はどうにもいたたまれず、艶々した口がサンドイッチを食べ終わったのを見て席を立った。
「そ、そろそろ出ましょうか。
知り合いが経営しているビジネスホテルを紹介しますから部屋が決まるまではそちらに滞在すると良いでしょう。フロントまで送ります」
「瀬髙さん」
「は、はい」
テーブルに着けた瀬髙の手を茄乃がはしっと取り、真剣な顔をして訊いた。
「見た目に反してネコとか?」
「僕は、、、バリバリのタチです」
「行為の最中に暴力でも振るうの?」
「と、とんでもない」
「変態プレイが好きだとか?」
茄乃の控えもしない声量に瀬髙は辺りを伺い、口元を拳で押さえつつ目を泳がせる。
「いえ。
ですが何をもって変態と取るか、、、」
「前戯を省略するタイプ?」
「それはむしろ長く楽しむ、、、あ、いえ」
「早漏?」
「いっいえ」
「遅漏?」
「でも、ないかと」
「じゃあ大丈夫だ」
言って茄乃も立ち上がり、掴んでいた瀬髙の腕を引いて歩き出した。
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