98人が本棚に入れています
本棚に追加
「そんな簡単に、、、」
「いいよ。
俺、元々嘘つかない真面目な人が好きだし、
それにフルーツサンド、、、まさか付き合ってくれるとは思わなかった。
否定するどころか一緒に食べてくれて嬉しかったんだよね、俺。
そこに瀬髙さんの人柄も見えた気がして。
もしかしたら俺達他の面でも合うのかなって。
あ、、、でも、
『右のおっぱい3回揉んで左のおっぱい3回揉んで、どうにかか挿入しての三こすり半』
でイッちゃうとこは合わないかも。
だけど別に構わないよ?
不満なんて言わないから」
「仲人君との会話、聞いてたんですね」
この段階でも茄乃はまだ、
瀬髙がもったいないほどの男前でありながら、未だに奥手で真面目で融通の利かない地味な堅物サラリーマンに違いない
と思っていた。
けれど瀬髙を前にして言ったことは茄乃の本音でもある。
人間不信にすらなりかけていた自分に、好意を示しながらも頑なに誠意を見せた瀬髙。
そしてやはり人目など全く憚ることなく喜んで夕飯のフルーツサンドに付き合ってくれたこと。
ただそれだけのことだったのだが、意外にも茄乃の心を動かすには充分だった。
そして瀬髙は──
真実の想いはわからないとしても、夢見が語る誤まった事実を聞き、それでも茄乃が
『構わない』
と答えてくれたことが大きな転機となった。
実際の瀬髙は別の意味で周囲の噂と異なる。
そんな自分でも受け入れてくれるかという危惧はあったが、どうしても茄乃を失いたくない想いが勝ったのもあり、
嬉しいことを嬉しいと素直に口にする茄乃の健気さが更なる力となって、眉目麗しい男の背中を押した。
最初のコメントを投稿しよう!