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「茄乃くん、、、
本当に僕とお付き合いしてくれるのですか?」
喰むように視線を合わせる瀬髙の目が黒い光を伴う。
「する。それならいいんだよね?」
「はい。
ですが僕が持つ別の一面を知って、茄乃君は後悔しないでしょうか」
「浦霧さんを忘れる為じゃない。
瀬髙さんだけを見てのセリフだから」
茄乃の決意に感慨をもって瀬髙は頷いた。
「、、、ありがとう、茄乃くん。
それでは」
そうと決まれば間髪入れず、瀬髙は自分を掴む茄乃の手を取り、上向きにして指で文字を書きだした。
「覚えて下さい、野津帆。
僕の名前です」
茄乃が見易いよう逆さ文字を使い、小さな手のひらに器用に書いて見せた。
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