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「いや、そうじゃなくて、、、」
「いいんです、いいんです。
茄乃君が自分を偽って苦しむくらいなら僕の心が壊れることなんか何でもありません」
後ずさる瀬髙。
「俺が言ってるのは」
「茄乃くんにフラれた以上、今後の長い人生においてもぅ誰も愛することはないでしょう」
「だから違、、、」
「たった数分間の契りでしたが僕はとても幸せでし、、、」
「あーっもうっ。
わかった、わかったよっ面倒くさい!
パートナーでも何でも好きにしてくれっ」
ふと動きを止めた瀬髙は眉間に溝を作り、
首を左右に振った。
「『面倒くさいから』というのを理由にするのはいくら僕でも傷つきます」
「面倒くさくない、面倒くさくないっ」
「やはり僕にとっても茄乃君にとっても一生一代のことなので互いの確たる愛情がないと」
「愛情あるっ、かなりあるっ。
大好き、瀬髙さんのことすっごい好き、
指輪もめちゃくちゃ嬉しい、だからそういう面倒くさ、、、悲しいこと言わないでっ、ね?
あと、どーでもいいけど場所変えてっ」
「よかった。
わかりました、それでは茄乃君の言葉を信じて早速、僕らの愛の巣へ」
「は、、、
愛、、、の、、、巣、?」
茄乃は知る由もなかった。
この時から完全に瀬髙の世界に翻弄される己の身のことなど ───
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