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日を追うごとにお色直しが進んでいく、商店街の一番端にある店。
長らく閉まっていたシャッターが上げられて、見えた姿。
それは古びた食堂だった。
昔懐かしい、下半分がすりガラスの横開きの戸。
見つめていると、カラカラと小気味よい音をたてて開いていく光景が
目に浮かんだ。
私がこの町に引っ越してきた時には閉店して2年が過ぎていたという。
高齢の夫婦二人で営む、町の食堂。学生や単身の若者だけでなく、
地元の家族連れも多く訪れ、いつも賑わっていたのだそうだ。
しかし、店の要である旦那さんが亡くなって、
女将さん一人では店を続けられないと、惜しまれつつも店を閉めたという。
想像でしかないけれど、引き戸を開けると
顔に刻まれた皺をさらに深めるくらいの笑顔で迎えてくれて、
栄養つけるんだよと肩を叩かれ、熱々の湯気を揺らしたおかずとごはんが
目の前に置かれ、へこんだお腹を膨らませていく・・
きっと、たくさんの人に愛された、人情味あふれる食堂であり
憩いの場であったのは間違いないだろう。
だって、引き戸の横の壁に書いてあるもの、「ありがとう」って。
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