作品は自分の遺書でもある

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 縁起でもない話だが、長編小説を書き始めたとき、自分の遺書であることを意識していた。  書き留めずに死んだら、誰も知らない事実が永遠に語られなくなるだろう。  いつかは書きたいと思って構想をいくつか練っていた物語も、自分が見聞きして感じたこと、考えたことを文字として世の中に残しておきたい、という思いがあった。  例えば芸術的な作品は、時代という大きな流れの一部になったとき価値が高くなる。  美術で巨匠と呼ばれる作家の代表作は、時代を代表する。  価値のある小説とは、時代性を感じさせる作品だと思っている。  人を感動させ、涙を流させただけでは足りない。  だから、これから生まれる自分の代表作は時代性があって、しかも自分の遺書なのだと思う。
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