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終章
──白いゴールデンレトリバーの仔犬とともに、そして愛犬シーズーのシーとともに──
春を迎え、ようやく静かな湖のような落ち着いた気持ちがもてるようになりました。そして、あの子がその短い人生で戦いつづけ、最後にみせてくれた笑顔を胸に、これからの人生を生きて行ける気がいたします。
あの子の短い人生を支えてくださったセラピー犬には本当に感謝しております。
お礼の言葉も言い尽くせないほど……
そして私も、あの子の心のよりどころであったセラピー犬と同じ白いゴールデンレトリバーの仔犬と、暮らすことにいたしました。
この仔犬が、あの子の生まれかわりだと思い、ともに懸命に生きて行くつもりです。
本当にありがとうございました。
──Instagramへ届いたあのシングルマザーからのコメント。
今夜も、スタンドライトの卵型のLED電球は、まるでこの8畳の和室の小さな太陽のように、隅々にまで淡くあたたかなひかりを放っていた。
ほんものの太陽が、地球のすべての生命の源なら、この部屋の小さな太陽は、オレと愛犬シーズーのシーのかすかないのちのともしびだろう。
オレとシーにとっての小宇宙=8畳の和室。
オレはこれからもシーとともに生きて行く。
──シー! いつもありがとう。
紺碧色の夜空には、はるか彼方から何億光年も旅した星たちが粛然と煌めいていた。
シーは赤いリードを引っ張るように走り出す。オレも赤いリードをけっして離さないようにしっかり握って伴走する。
短い両脚を伸ばしやや寸胴の身体を精一杯躍動させ、シーはくもりのないまことの世界へ向かって走りつづける……
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