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第1章
──定められた運命なのか──
病室の広い窓から、春の芽生えたようなやわらかな陽が差し込み、真っ白なシーツに真新しいぬくもりを与えていた。
ようやく2歳になれた頬がふっくらとした幼女は、小さな口をあけ大きな瞳で天井を見つめたまま、人形のようにまったく表情がなかった。
幼女は、生まれてすぐに心臓に病気があると診断された。身体中にうまく血液を送り出せない新生児大動脈弁狭窄……
治療されても泣かない、くすぐられても笑わない、子どもなら抱くはずの感情をほとんどみせない。
さらに1歳の時に、重い宣告を受けた。余命3年……
幼女のまだ30代前半の母親は、その宣告を認めたくない、現実を受け入れられない気持ちから誰にも話さずずっと自分の胸の奥にしまっていた。
無表情の幼女が、いつか笑顔をみせてくれる日が訪れるのを夢みながら……
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