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第4章
──涙が溢れました、よかったですね──
夜の20時過ぎ、琥珀色のスタンドライトの灯りに包まれた部屋の布団に入ると、すかさずシーがベージュの毛布をかけたオレの胸の上に駆け上がり、いつものようにオレの顔中を小さなピンク色の舌で舐めはじめた。
オレはかまわずそのままiPhoneで、Instagramのアプリを開くと、あのシングルマザーからコメントが届いていた。
──今日、あの子がはじめてセラピー犬へ興味を示して手を伸ばしました、と看護師さんから教えていただきました。私はあの子がはじめて何かに反応してくれたことがほんとうに嬉しくて、涙が溢れましたと……
すぐにオレは、──ほんとうによかったですね、大丈夫、希望を持ってください! とコメントを返した。
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