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旋律自体は単調で、徐々に高くなったりいきなり低くなったりし、そしてその音同士が調和して奏でているだけ。
いつもこんな音楽なら「壮大だ」と心を持っていかれないよう押さえつけていた。
その筈が、わたしは、
「嗚呼、なんて悲しいメロディだ」
と、心を揺るがして、少女が海が広がる岩の上で月に向かって音楽を吹いているという不思議な風景なんて忘れてしまう、否、むしろ受け入れてしまうぐらいにその音楽に聞き入ってしまった。
どのぐらい時間が経つのか?
誰が通っていたのか?
怒られるのではないか?
こんな所で2人とも風邪を引くのではないか?
もうそんなことを覚えていられない。
なんと、なんと悲哀に満ちたメロディだ。
わたしの言葉だけでは、これがどれほど心を突き刺すものか、どんなメロディーをしているかは伝わらない。
ただ一つだけ言えるのは、この音楽を演奏する彼女も、きっと辛いことが有ったことのみ。
これ程哀傷を立たせる音楽を演奏できるぐらいなら、同じ運命に合ったことがあるに違いない。
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