美しい人

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夜勤明けの朝が好きだ。 事業所の門を出る頃に、ちょうど朝日が出ていたらなおのこと嬉しい。 帰る道すがらすれ違うのは、これから活動が始まる社会人や学生達。 そんななか、俺はもう仕事を終えていて。 彼らとは違うホッとした表情でいることが不思議で面白くて。 そういうのも、なんだか好きだ。 事業所から10分ほど歩いたところで、ピタリと足を止める。 そこは「rencontre」という名のカフェ。 夜勤明けの朝、俺は決まってこのカフェに立ち寄っている。 そこで朝食を食べてから帰宅するのが最近のお気に入りだ。 いつもの窓際の席、いつものメニューを頼んでボーッとしていたら。 俺と同じく窓際に座る、ある青年と目が合った。
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