美しい人

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俺の視線に気づいたからだろうか。 その人も俺に視線を向ける。 絡み合った視線は、逸らしたくても逸らせなかった。 だって、その人が。 俺の顔をじっと見つめていたから……。 初めてこんなに間近で彼を見る。 遠目で見ても綺麗な人だったけど。 近くで見るとより美しい。 肌も滑らかで、本当に整った綺麗な顔。 そんな彼を見ていたら、急激に高鳴る胸の鼓動。 まずい。 なんだかやけに顔が熱い。 もしかしたら耳まで赤いかも? 動揺していることを見抜かれたくなくて、サッとトレーから手を離したら。 彼が突然、俺にペコリと頭を下げた。 その行動に驚いて、俺も慌てて頭を下げる。 そんな俺に彼は一瞬口角を上げると、食器を返してその場から立ち去って行った。 俺はあまりにビックリし過ぎて、しばらくボーッと彼の美しい後ろ姿を見ていた。
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