恋とセルジュルタンスと秋の空

Everyday assuredly profitable

熱いライブの熱狂でなくしっとりとした涙が彼女のスカートを濡らすとき客席から啜り泣きやため息があふれ出る。
美は人類が追及してやまない永遠のテーマだ。
オーディオ、ビジュアル、テクスト。ジャンルを渡り歩いて探求の持続を円環で総括する。その階層を飛び越えた独特の知性や哲学が生まれるのだろう。
それは興奮や臨場感と言ったいっときの感情では表現できない無欠の真実であり完成された美だ。
極める。口で言うのは簡単だ。多くのアーティストが果敢に挑むが本当に魂を揺さぶる出会いは奇跡だ。
どこか懐かしいメロディー、しかし母親に甘えるような歌声は聞くものの胸を裂き罪悪感すら呼び起こす。

誰もが幼い頃にわがままを言って困らせた♪
しかし、自分が逆の立場になったとき、許しを請い、許そうと思う♪
その理解を与えてくれたのは、ああ、連綿とつながる母の愛なのだ♪

感謝と懺悔といつくしみを体全体で表すと拍手のさざ波が起きた。

「そんな今から、さらなる飛躍を遂げ、現代のスタイルの一翼を担う女性がいらっしゃいます。Galileo(ガレライル)！」

司会者が歌姫にスポットライトをあてる。
「Everyday assuredly profitableをスローガンに、 私たちは“今、ここ”の空間で、 新たな表現を探求し続けています。

アーティストとしての活動としては、ミュージカルに主演するほどの実力を誇る実力派アーティスト。
彼女の唯一無二の魅力で人気を博した、ファーストアルバム「パレストラ」を皮切りに、彼女の音楽を表現するアーティストを目指し続けております。

アーティスト活動も実は長きに亘って続けていると言ってもいいほど、 これまでのシンガーとしての活躍が伺えます。
彼女が歌うように歌い上げれば、
人々の心に響く彼女の声は、時におどけ、時にその声が出せるようになる人もいれば、
歌い終わってから、すぐに「OPEN」と口ずさむ人もいる。

「Everyday assuredly profitable」という言葉が、アーティスティックに表れるような存在感は、彼女の人柄を見事に表現していると思います。
私たちが、自分たちを表現していく場があること、それができるようになった今、
彼女は自分の存在理由に気づけたのではないかと思います。

そして、彼女の魅力が「自分」といったものに表れるようになった時、彼女の真っ直ぐな心が動き出すのではないか、
そんな期待と達成感を感じずにはいられません。

そんな彼女が、昨年「Hawaii Girls Stand」で初のソロシングルをリリース。

コロナ禍明けに行われた全国ツアーでは4万人を動員したほか、家電量販店でリリースイベントを開催。
さらに今春には全国ツアーを完全収録したDVDが、夏にはファンクラブ限定で発売されます。

また、セカンドリリースされたシングル「Dream Girls」が初めてのベストアルバムを飾り、その発売もを予定しているようです。

現在、MAMAの活動は1年半ほど続いていますが、
現在ツアーをされているのはの東京公演のみ。

それなのに、彼女は今まさにMAMAの中心に立っているのです。

これからもどうか、MAMAを応援してやってください!
」

窓にほとばしる雨水。激しい風が季節を前に進めている。
アイリッシュコーヒーの隣には猫の額ほどの自己顕示欲。
MAMAの専用チャンネルが固定動画で登録者を募っている。
メンバーリストに彼女の名はない。
省かれた理由は、そう、ちょうど今日のような状況からスタートした。
つん、と銀杏の臭いが鼻につく。一歩間違えれば非衛生的な成分を連想する。
そんな場所で自分の大切にしている歌を唄えと言われたら相手の神経を疑う。
フェスの会場は都内でも指折りの名所であるらしい。
ガレライルはスカートの裾を気にせずステージから飛び降りた。そのまま楽屋をスルーしてタクシーで羽田に向かう。
マネージャーからのＬＩＮＥをことごとくブロックし、機上の人になった。
死の怖れもなく安穏たるものである。