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香りは心の本質
(香りは心の本質)
セルジュはファンクラブの伝手や闇サイトなどありとあらゆる手段を駆使してガレライルの逗留先を突き止めた。
ガレライルは、人気のない海岸にいた。
「ガレライル!」
「誰!? どうしてここにいるの? 私のことなんて放っといて!」
「そんな冷たい言い方しないで。ガレライル、あなたは、間違ってる!」
「私は、間違ったことをするつもりはないわ!貴女、何者なの?名を名乗りなさい!」
「セルジュ・ランベール。あなたのファンだったけど、今は違う。ガレライル、あなたは、自分勝手で、エゴイストで、残酷だ!」
「ひどいわ。もう知らないんだから。」
ガレライルは、そう言うと去って行った。
「待って。あなたに見せたいものがあるの!」
「これは?…!」
ガレライルは目を丸くした。セルジュが差し出したものは手作りのアロマキャンドルだ。
「これを貴女にあげるわ。焚いてみて。香りをかいで落ち着けば、きっと考えが変わると思うの」ガレライルは言われるままに、アロマキャンドルを火をつけた。
「これは、オレンジスイートの香り。私にとって一番好きな香りよ。どうかしら?」
「素敵……。こんなに優しい気持ちになるのは初めて……」
ガレライルの目から涙がこぼれ落ちた。
「ガレライル、お願いだから聞いて。ガレライル、あなたが本当に伝えたい言葉は何なのか考えてみて。」
「私が、本当は伝えなくてはいけないこと。それは、ありがとう。ごめんなさい。そして、愛してる。その3つだわ。」
「そうよ。ガレライル。自分を責めないで。もっと自分に優しくなって。」
「ありがとう。セルジュ。」
ガレライルは涙を流しながら微笑みを浮かべた。
いつの間にか修道女が見守っていた。
「ガレライルさん、よかったら、うちに来て。セルジュさんも。美味しいクッキーを焼いたの。一緒に食べましょう」
「ええ、喜んで」
ガレライルとセルジュは顔を見合わせて笑った。
ガレライルは、セルジュに言った。
「ねえ、もしよければ、私のマネージャーにならない? 」
「いいのですか? でも、私なんかでいいのかしら? ガレライル」
「もちろんよ。貴女の歌声が大好きなんだから。」
「じゃあ、これからよろしくね。ガレライル」
「こちらこそ、よろしく頼むわ。セルジュ」
こうして、2人は握手を交わした。
あのガレライルがお忍びできている、という噂が広がり、メディアの取材は謝絶、人数限定、盗撮禁止、口外無用という条件でミニコンサートが行われることになった。
教会堂に立つガレライル。
セルジュは「今日はどんな歌を歌うの?」と振る。
ガレライルはブログを更新した。
MAMA脱退の報告と謝罪を兼ねて。
そこには新しいマネージャーの顔写真とソロ活動の意気込みが綴られていた。
****
心の宝とも言われていますが、私たちは心の宝であるとともに、「生の美」であり、「生の香り」でもありますから美しさこそが心の宝です。
「あなただから心の宝が見つかる」
これが私たちの心の純粋さを表しているのです。
心の宝を見つけて、あなたの心が自分の心と一体になれば、あなたが生のようで生きているようで、死のようで死んでいる。
つまり「生の香り」とも言えます。
生の香りに包まれ、その香りを楽しむことができたら、心の宝は生まれてくるのかもしれません。
心のエッセンスは、心そのものに起こることでもあります。
心があなたに生かされているという感じはありませんか?
「あの人は私を愛している」
これを本当に心の宝として扱うならば、心の宝箱から取り出してしまわなければ、心の宝箱から「生の香り」があなたに届くことはありません。どんな気持ちでもいいのです。
心の宝には、あなたの魂が乗っています。
心の宝が生まれるように、人が生きる。
これこそが「生の宝」であり、あなたの心に「生の香」を感じている者の心の形であり、生きている私たちの「生の価値」です。
「あなただからあなたの価値は生まれる。
誰にも渡さない、あなたと一緒に生きている」
私たちが自分の心の宝箱を見つけることができたら、あなたの価値に届くと思います。
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