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第76話/白き領域の守護者
あれから先行するウォームの後追って森の奥へと足を踏み入れながらも、周囲を警戒してくれる龍碑と竜祈のお陰で危ない目には合う事無く。白色化が進んだ木々を見渡し、白く結晶化して崩れ始めたアナトの亡骸を見つけては採取を繰り返す。
それ以外に変わった事と言えば、落葉の色合いだろうか。今までは黒や焦げ茶中心だったため、地面が腐葉土並に真っ黒だったけど。群生地と化した場所に近づくに連れ、白い落葉が目立ってきた。
(聖域認定されそう)
(ですね。幾分身体が楽になってきました)
余計な事は口に出さぬ様、テレパシーで思った事を発信すると、鳳炎が頭上を気にしながら応えた。
恐らく闇属性から聖属性へと成分が変わった事で、鳳炎のような光属性の体質に優しい環境に移り変わり始めているのだろう。
(ピブルさんの言う、〈祝福の欠片〉は見当たらないけどね)
(そもそも固形物なのでしょうか?)
言われてみればクジラのような潮吹きの場合、水分のため地面に吸収されて当然の代物である。
(でもその可能性、どう説明するよ)
鳳炎に話が通じるなら、同じ世界にいたウォームにも話が通じるとして、問題は此の世界の住人である。グレイに説明が必要だった事を踏まえると、研究者相手となれば科学的な根拠が必要だろう。
(何かに例えれば伝わりやすいのですが__)
(そうだね)
そんな都合の良い物が落ちてるようには見えないけど……。当たりを引き当てるように数歩前進した俺の足下で、パキっと硬い物が割れた音がした。
『………。』
反射的に身体の動きを止める俺と、その動きに合わせて止まった者達が、一斉に音が鳴ったであろう俺の足下へと視線を落とす。
「フレムさん、何か踏みましたよね?」
「うん」
「ゆっくり足を退けて下さい」
ピブルに確認され頷くと、パブロフの支持でゆっくり踏んだ場所から足を退けてみた。
その間、皆に責められるのではと内心穏やかじゃなかったんだけど__。
「何も、ない?」
靴裏を見ても、それらしい痕跡は無く。
疑問視するパブロフの後に続き、ピブルが機転を利かせて落ち葉を払い除けると、何かしらの白い粉砕痕があった。
「〈祝福の欠片〉も白い落葉と同じ色なら、見落としても可笑しくないわよね?」
すると、ピブルの問いかけに強く頷くパブロフ。
もしかしなくても、手掛かりは先程見せてもらった挿絵しかなかったりするのだろうか。文字が読めない状態だから、本を借りて読むことも出来ない俺は、これからの事を考えて気が重たくなる。
「一度休憩を挟みましょうか」
だけどオリバーの提案も虚しく、ピブルとパブロフは早速地面を這うように〈祝福の欠片〉を探し始めてしまい。案の定、周囲の警戒を怠る訳にはいかなくなってしまった。
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