第76話/白き領域の守護者

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「ウォーム!! 此処ら一帯を調べるって!」 「分かった!! フレムと持ち場を交代しよう!」 「は?!」  テレパシーがあるのに素で大声を張り上げると、ウォームも負けじと大声で返してくれたのは嬉しいんだけど__。  それは、俺に先陣をきれという事なんだろうか?  判断に悩んでいると、龍碑と竜祈を引き連れて戻ってきたウォームが説明を付け加える。 「この場は僕と竜祈で守るから、フレムは龍碑と鳳炎を連れて、もう少し奥を見てきてほしいんだ」 (どうにも強い力を感じる) (強い力?)  ムグルに基礎的な事は教わったけど、視覚に入らない距離の何かが認識出来ないのは、経験の差ってやつなんだろうか。確かに現在地より洗礼された気配は感じるけど、警戒する程ではない。  鳳炎も危険とは(とら)えていないようで、落ち着いた様子で指示の意図を説明してくれる。 (確かに悪い感じは致しませんが、ウォームさんの魔法はアイテム頼り。何かあった時、皆さんを逃がすための時間稼ぎには不向きですね) 「分かった。じゃあ安全だと判断したら、テレパシーでウォームに連絡すればいいの?」 「もしくは、フレムが気になったモノを回収してきてくれないかな。夢中になられたら、今日中に帰れない気がするから」  実際真っ直ぐ歩けばどうってことのない距離を採取しながら来たので時間がかかってる。おまけにしゃがんで真剣に物を探している研修者に、俺達の会話は聞こえていないようだ。 「現時点で予定してた時間を30分オーバーしています。それに水はあっても、食料は持参していませんので。区切りをつけて引き上げないと、帰路の体力が保ちません」  特に調べ物をしているピブルとパブロフの体力を気にしているようで、誰とは言わずともオリバーの視線で何となく察した。 「それじゃあ採取に必要な袋を持っては行きますけど、此処より収穫がありそうなら、龍碑に遠吠えさせますんで2人を連れてきて下さい」 「承知しました」  何も無いところに居座られるより、少しでも成果が出そうな場所を調べてもらった方が有意義というもの。オリバーから採取に必要な袋を数枚受け取ってズボンのポケットに押し込むと、時間短縮を兼ねて裏技を使うことにする。 「龍碑、乗っけてくれる?」 「WOw」  人語を理解出来る龍碑は、二つ返事で了承すると俺を背中に乗せてスタートダッシュを決め。ウォームが咄嗟に「気をつけて」と言ってくれたが、俺は振り落とされないよう毛皮を鷲掴みにするのが精一杯で言葉を返せなかった。 (龍碑さん、御主人を振り落とすつもりですか?)  掴んでた手がずって来たタイミングで、鳳炎がテレパシーで忠告すると、スピードを落とした龍碑が走るのを止めて「くぉ〜ん」と反省の一鳴き。
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