第67話/独り立ちの第一歩

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「どうやった?」 「変わり事は?」 「無いって」  ストームの何気ない問いかけに続いて、ウォームが質問したところで俺が答えると、ルシウェルと以前何処かで会ったようながたいの良い男性と目が合った。  どうやら当事者の二人より、俺と話がしたいようだけど……。さて、どうしたもんか。  グレイには、友達だから黙っておけないという立場を示したが、Liderの関係者となれば話は別である。グレイ個人の事情なんて知らないのに、下手に邪魔立てしてしまうと敵が増えるだけで面倒臭い事になるからだ。 「二人は今回の詫びに来たそうやで」 「フレムは席を外してくれても平気だよ」 「それじゃあお言葉に甘えて、と言いたいところだけど……。知りたい事があるから、同席してもいいかな?」 「そらかまへんけど」 「事情説明してくれるとは限らないよ?」  ストームが許可を出す一方で、ウォームが念を押すように俺に問うた。恐らく俺の知りたいことがLiderにあると思ったのだろう。 「大丈夫。個人的な疑問だから、謝罪の件が終わってから質問するよ」  すると、それならばとウォームも同席を許してくれた事で。一行と共に部屋へと戻った俺は、対面する当事者同士のから少し離れたところに座った。 「この度は、誠に申し訳ありませんでした」  代表してルシウェルが畳に額を付ける勢いで深々と頭を下げると、共にやって来た男性も深々と頭を下げてから説明に入る。 「周知を避けていた情報を勘繰(かんぐ)った者が、フレム殿の側近の帰省を知り。拉致を(こころ)みたようです」 「現在教皇様自ら指揮を執り、原因の究明と対策に乗り出しておりますが……。首謀者の身にが下ったことで、時間がかかでいますことを重ねてお詫び申し上げます」  その報告を聞いて、ウォームと目を合わせたストームは、大人しく話を聞いてるだけの俺を一瞥して。困ったように頭をかくと、胡座をかいて「そんならワイ等から言うことないわ」とコメント。  ウォームも足は崩さなかったが、教皇自ら指揮をとってると知るや否や。お手上げとばかりに発言権を譲る。 「フレムは何か言うことがある?」  そこで首を横に振ると、ルシウェルと連れの男性は安堵の表情を浮かべた。幹部でもない見習い相手に、気を遣いすぎだと思う。 「せやけど、個人的に聞きたいことがあるんとちゃうんか?」 「謝罪は受けた事だし、フレムの質問タイムにしても良いよ」  ーーそんな勝手な……。  相手の都合もあるだろうに、今回の騒動とは関係のない質問をしてよいものか悩む。  すると相手の顔色を伺う俺に向かって、愛想よく「どうぞ」「何なりとお伺い下さい」と相手の方から催促してくれたので。ご厚意に甘えて、恐れず声に出して聞いてみる。
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