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「それじゃあ、素朴な疑問で申し訳ないんですけど……。この世界に神様っているんですか?」
何を今更子供じみた質問を?
ーーと、我ながら思いはするけど……。
矛盾を感じたのだから仕方がない。
ポカンと間の抜けた顔を目にする事になったけど、俺は構わず質問の意図を伝える。
「墓を建てる習慣がなくて、神に見離れたとか聞いた事はあるんですけど……。どうも矛盾してると言うか。神様がいないとは、今のところ聞いたことがなかったもので……。もし教皇様の他に、敬ってる存在がいるのなら教えてくれないでしょうか?」
「__教皇様、以外ですか」
「でしたら、龍脈が我々にとって敬うべき存在と言えましょう。最終的に我々は、龍脈に還る事から墓を建てる文化がありません。そして、その龍脈から再び天命を受けると、人として生まれ変わるという。昔ながらの言い伝えが今でも残っているぐらいです」
ルシウェルのオウム返しの後、連れの男性が思い当たる事を述べてくれたお陰で。頭の片隅に感じていた違和感が消えた。
「あー、それで天罰って言われるんですね」
「どういうこっちゃ?」
「俺の場合、天国にいる神様が罰を与えることを天罰って言うんだけど。この世界の人達は、多分天命を背いた罰を受けることを天罰って言うんだろうなぁ。と思って」
「なるほど」
ひとり納得した俺に間髪入れずストームが尋ねてきたので、噛み砕いて納得した理由を述べると、それを聞いたウォームが何が言いたいのか分かったように相槌をうった。
「ほんなら、ワイらがイメージするような天罰とは違うんやろな」
「僕らの生まれ故郷には神様がいるからね」
ーーそうなんだ。
まぁ夢の中で神様らしき人物を見たことがあるし、自力で発動させる魔力より他者の力を借りて発動させる魔法が主流みたいだから、居ても可笑しくと思うけど……。
「え? 普通、悪いことした人に降りかかる不幸を天罰って言うんじゃないの?」
そもそも本物もんの神様が実在して、悪行を罰するなら、天罰じゃなくて神罰と言っても過言ではないと思う。
「ど、どのような天罰をイメージされているのか解りかねますが……。我々の言う天罰というのは、前ぐれもなく突然死石と化す現象のことです」
「徐々に死石と化す結晶化とは異なり、一瞬にして死石と化すのが特徴ですね」
「じゃあ病気とは違うんですか?」
連れの男性に続いて、病と言われる結晶化との違いを教えてくれたルシウェルの話から解釈すると、黒の死石と同じマイナス・イメージがあるから天罰と認識されているような気がするけど……。
首を軽く傾げて質問する俺に、二人は揃って困った様子で軽く打ち合わせした後、代表としてルシウェルが発言する。
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