第66話/溢れ出す裏事情

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「はい、もしもし。WPPOですが……。今いますよ。変わりましょうか?」  相手の要求にあっさり飲んだレナは、「フレム君、ウォームさん」と伝えてから一旦保留をかけた。 「えっと……」 「保留ボタンを押して」  電話の操作に戸惑っていると、レナの助言を受けて保留を解除。誤って切ってないか「もしもし?」と呼びかけると、聞き慣れた声で{あ、もしもし。フレム?}と返ってきたのでホッと肩の力を抜いた。 「うん。何があったの?」 {それより迎えのことなんだけどさ} 「うん」 {教皇様が御使いを迎えに出してくれて、逆に迎えに行けなくなったよ} 「えヾ」 {フレム1人じゃ不安だと思うから、何とかムグルさんに同行してもらえないかな?}  要するに教皇の気遣いを無駄にはしたくないが、裏がありそうだからお供を付けて来なさいと言う事だろう。かなり面倒な事に巻き込まれてしまったようだ。 「グレイはどうすんの?」 {グレイ?} 「ストームがWPに預かってほしいって、頼まれたらしいんだけど」  するとウォームは、溜め息混じりに{またアイツは勝手に}と呟いてから返答する。 {フレムの判断に任せるよ。まだ原因が分かってないのか、説明を受けてない状態でね。多分フレムが来たら、Liderから話してくれると思うけど……。どうする?}  つまりウォームは、まだグレイが狙われた目的を知らないようだ。しかも説明があるとしたら、Liderから直接聞くようになるだろうとの事。はっきり言って、危険だ。  ウォームには「ちょっと相談してみる」と返したものの。出来る事なら、グレイをWPに預けたままの方が最善策だと思った。 「てか、今何処にいるの?」 {訳あって、VIP対応を受けてるとこだよ} 「監獄?」 {の一歩手前だね。Liderの敷地内で騒動を起こしちゃったから、さっきまで事情聴取を受けていたんだよ} 「御愁傷様です」 {まぁでも、ルシウェルさんに通報して対処してもらったから。今のところ御咎め無しだけどね} 「良かった」 {だけどフレムからルシウェルさんに連絡しても繋がらなかったでしょ?} 「うん」 {ごめんね。まだドタバタとしてる状態で、ルシウェルさんも同行出来ないまま迎えに出ちゃたそうなんだよ} 「分かった。そう言う事なら仕方ないね」 {因みにストームは帰り支度を兼ねて、施設に連絡しに行ったはずだよ。ね} 「あー、それでウォームは何も知らないのか」  俺は聞いた情報(はなし)を脳内で整理すると、愚痴を溢したウォームに同情した。  恐らくグレイの身を守るために、ストームが勢いで連れ出したものの。向かう先にもLiderがいる事に気がついて、俺が滞在してるWPPOに押し付けて行ったんだろう。
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