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すると、悔しさを滲ませながらも「そう言う事ですか」と告げた女性警察官の後に、舌打ちした中堅層の男性は「出直すぞ」と不機嫌な態度で部下に撤退の合図を出した。
危険をかえりみず現場検証したところで、揚げ足を取るのは難しいと判断したらしい。
「礼儀のない人達でしたね」
「うん、威圧的だった」
しかも魔法使用をあーだこうだと言う割には、時空魔法を使って撤退してるし……。
異世界で何様のつもりだ? とは思う。
「本来は、言われる前に警察手帳を見せて身分を証し、協力を仰ぐものです」
「じゃあよっぽと、都合が悪い相手と思われたんだろうね」
時空警察と言われるWTPOの間で、どんな噂が流れてるのか知らないけど、多分俺の事は何かと知れ渡ってるはずだ。
ーーと、此処で目に止まったのは、黒ぽい茶系の大地に置き去りされた白いカードだ。
落ちていたにしては不自然に感じられたけど、興味半分で拾ってみれば名刺である。
ーージルファーナ=ロンド?ーー
落ちていた位置的に、話し相手になった感じの悪い警察官二人とは別にやってきた人の者だろう。所属先は、WTPOの機動隊。
最初に事件や事故現場に向かい、証拠となる現場の保全が主な活動内容のはずだと、英里だった頃に得た知識が生かされる。
「本物かなぁ?」
ぺら紙ではないにしろ、シンプルなデザインの上に写真掲載がなく。バーコードのようなものが描かれてる事から、何かしらの機器で読み込むタイプのようだけど……。裏側に汚い文字__失礼。走り書きで<相談があります>とのコメントがあった。
「ムグルさんに相談しましょうか?」
「でも俺宛なのかも不明だし、ストームに呼び出してもらった方が筋が通るかな?」
「そうですね。ですが、揉めませんか?」
まぁそんな事を言ってたら、ムグルに頼んでも面倒な事になりそうだけど……。
俺は思考を巡らせた後、ひとまず施設に残ってる人達から経緯を尋ねる事にした。
「到着早々対処して下さって有難うございます。何を問題視されてるのか分からないまま、門前払いしておりました」
ーーですよね。
どっから入れば正解なのか分からず、施設の外周を近場で見上げていると、Liderの警備兵達が俺達の存在に気付いて案内を買ってでてくれたので。移動の際に話題として経緯を確認すると、そもそも何を問題視されたのか分からないまま、上司の言い付けを守っていたらしい。
「お疲れ様です」
「彼等は何用で此方に?」
「緊急出動で来たそうで、俺達が来る前にスフォームが何かしたそうなんですけど……。キチュル退治でもされて行きましたか?」
そこでようやくWTPOがやってきた理由を察したLiderの警備兵達は、うんざりとした様子で代表が質問に答える。
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