第68話/初めての御使い

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「えぇ、まぁ……。ですが、必要性のある行為である事は周知されたのでは?」 「それが、どうやらスフォームが魔法を使用した事が問題のようなんで……。何というか。この世界のモノで例えると、アナトの力を借りてキチュル退治を(おこな)った感じでしょうか? 魔法は魔法でも、危険視されている属性なので。緊急出動して来られたようです」 「なるほど」 「ただ警察手帳の確認、及び名を告げる事なく用件を言われただけですから。Liderの方々は、<本物がどうか確認出来なかった>と報告すれば問題ないはずですよ」 「何か言われたら、俺に言ってください」  言い返しておっぱらってくれたのは鳳炎だが、彼は俺の守護竜であって、施設に勤めてはいないことから責任は主の俺にある。  叱られるとしたらWPのお偉いさんなんだろうけど、言われて<制服見れば分かるだろう>的な文句なんだろうし……。言い訳ぐらい考えとけば何とかなるだろう。  しかし、通信室から報告を受けたストームは気にくわないとばかりに声を荒げる。 {えぇ加減、どつきまわしたろか!} {面倒をかけたね} 「何か言ってきましたら、(わたくし)の責任です」 「えっ」  俺としては、鳳炎が怒られる筋合いはないと思うんだけど……。上手く説明出来ず、困った様子で鳳炎とモニターを交互に見ていると、ウォームが助け舟を出してくれる。 {そこまで気にしなくても、そもそも施設に踏み込ませるつもりは僕らもないから} {そうや。何か言うてきても問題あれへん} {それより今し方。ウォーターがラーリングの様子を見に行ってくれたけど、案の定医師に診てもらう気はないみたい} {説得頼むわ} 「分かりました」  そうなると、俺が今やるべき事はウォームの施設に行って__。拾った名刺の事は後回しにしようと思ったが、これはWTPOとの接点を見出だせる大きなチャンスだ。  今此処で詳細を明かすと面倒な事になりかねないので、ひとまず用件のみ伝えてみる。 「それと、WPのムグルとLiderのレディウスさんに協力してほしい事がありまして……。アポイントをとってくれませんか?」  すると予想通り、余り良い顔をしてくれないウォームとストーム。黙ってはいるが、テレパシーで話し合っているのだろう。  俺が「後で説明しますんで」と付け加えたところで、ウォームが渋々妥協してくれる。 {分かった。ひとまず通信によるやり取りを申し出しとくよ} 「有難うございます」 {無茶な事するんやないんで} 「うん、安全第一で目的地に向かうよ」  ストームに改めて釘を差されたけど、通信終了間際に敬礼してみせると、二人は少し顔を緩めて軽く敬礼を返してくれた。
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