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{くれぐれも油断しないようにね}
「うん。ウォームは、引き際を見誤らないようにね」
{分かってるよ。それじゃ、また後で}
ウォームは連絡先を告げぬまま電話を切ったけど、もしもの時は鳳炎に頼れば良い。
問題はグレイをどうするかだけど__。
「グレイ、まだ襲われた原因が分からないようなんだ。俺も命を狙われてる身だし、今暫くWPPOの世話になった方が良いかもしれない」
でも、そのためにはWPPOの協力が必要不可欠な訳で……。不安そうな顔色を浮かべる俺とグレイが、揃って様子を見守っていたレナにアイコンタクトを送ると、彼女が思いきった決断を下す前にムグルがリビングに顔を出した。
「どうなった?」
「さっきウォームから電話があって……。迎えに来れないから、ムグルに同行してもらいなさいって」
「分かった。グレイ君は引き続き、此処で待機ってことだね?」
「まだ襲われた原因が分からないし、俺も命を狙われてる状態だから。ひとまず安全が確認出来るまで、匿ってほしいんだけど」
するとムグルは、困った様子で「匿ってはあげれないけど、預かる事は可能だよ。フレム君の大切な友達だからね」と答えてから、グレイの意志を確認する。
「君は異論ないのかい? フレム君が安全を確認してから迎えに来てくれるって事で」
「あ、そう言うことなら御願いします」
内容を復唱したムグルが最後にウインクすると、不安を抱えていたグレイがパァと明るい表現をうかべて同意。恐らく今回の経験を生かして、俺以外の人物が迎えに来たら断れる約束にしたいのだろう。
「じゃあ俺が迎えに来るまで、グレイのこと宜しく頼みます」
「OK。と言っても、ボクはこれからフレム君と出掛けてくるから。後の事は宜しく頼むよ、レナ」
「了解、任せといて♪」
「それじゃあ行こうか、フレム君」
「うん!」
予定に無いことが続いて、正直不安だらけではあるど……。腹をくくって頷いた俺は、ムグルと一緒にリビングから出ると、玄関に真っ白いローブに所々七芒星がちりばめられた人物が二人。
俺の姿を見るや否や、深々と被っていたフードを脱いで白髪とは不釣り合いな少女と少年がペコリとお辞儀をして見せた。
「教皇様の御遣い様で間違いなさそうだから、玄関まで通してあげたんだよ」
ーーえっと……。
自分より幼い相手のお出ましに戸惑ってしまうが、アシメントリーショートが印象的な少女が「貴方がフレム様ですか?」と尋ねてきたので。ムグルに一瞥を送った後、「様付は必要ないですけど……。多分、俺のことだと思います」と答えた。
するとムグルが横から軽く肘鉄。曖昧なこと言って、相手を困らすんじゃない! という警告のつもりなんだろうが……。
訪れた二人は、再び頭を下げて言う。
「この度は、お連れ様を騒動に巻き込んでしまい、誠に申し訳ございません」
「大変恐縮ですが、宿を御用意いたしましたのでお迎えに参りました」
「宿?」
「つまり今日は、帰れそうにないってことだね」
ーーですよね。
まぁラーリングとの約束まで、まだ日があるからいいけど……。ムグルの助言に困った表情を浮かべた俺は、一度施設に連絡を入れるべきか考えて質問する。
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