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(でもスチュエーションからして、敵襲と間違えられないかな?)
雷鳴がくすぶる雨雲の真下で吠えるとか、ラスボス感溢れるんですけど……。案の定暫く余計なことをせずに待っていると、敷地内の大砲が方向転換したので少し焦った。
そして、騒ぎに気付いたウォーターがヘリポートに姿を現した事で、屋上の照明が一斉に灯され、着陸地点を教えるためにヘリポートの一角で必死に紅白旗を振る人が見える。
(彼処が着陸地点のようですね)
(良かった)
しかもテレパシーでウォーターが俺の名を呼びながら、手を振ってくれていた。
(早かったのね!)
(ゴメン、テレパシー下手くそで)
(良い経験になったわ)
詰まる所、予想しなかった連絡手段だったのだろう。普段仲間内の間では、顔を合わせなくてもテレパシーで会話してそうだし、次回はトランシーバーぐらい持って行くよう言われるはかもしれない。
周囲を警戒しながら誘導に応じた鳳炎が着陸したところで、俺が股がってた背から降りると、小型化した鳳炎は俺の肩に移動した。
「急いで着替えの準備を」
「あっ、魔法で乾かせるレベルなんで大丈夫です」
出迎えを待ってる間にぐっしょりと濡れた俺と鳳炎見て、ウォーターが気を遣ってくれたけど、濡れた我が身を乾かす魔法ならムグルとの特訓で得ていたので。やんわりと断りを入れてから屋根がある所に移動すると、肩に乗る鳳炎を含めて乾かしてしまう。
「驚いた」
「ムグルさんに色々教えて貰った成果です」
「ストームの施設でトラブルがあったって聞いてたから、遅れて到着すると思ったわ」
「ですよね~」
ウォーターも魔法で身を乾かしてしまうと、加えて「すみません」と言った俺に優しく微笑みかけて案内を続ける。
「此方よ。何はともあれ、無事に到着してくれ安心したわ。ガルパと遭遇してたらどうしよって、話してたところなの」
「あー、逢いましたよ。運良く無視して来ましたけど」
「へ?」
「……まずかったですか?」
我が身可愛さに戦闘する気ゼロだったし、後でWPにとやかく言われるのも面倒臭いから報告しないつもりでいるけど……。
目をぱちくりと瞬きしたウォーターは、少し頭を抱えるような仕草を見せ__。
「そっか。そうよね。輸送機とは違うんだから、ガルパと遭遇しても対処出来て当然__な訳いでしょ! 怪我しなかったの?!」
「大丈夫ですよ。遭遇しただけで、追っかけられた訳でもありませんから」
「ほ、ほんとに?」
「多分食後だったのかと……。それよりラーリングの、スフォームの様子は?」
自分も何故襲われなかったのか、明確な理由は分からなかったので。適当に誤魔化すと、肝心の本題を尋ねてみた。
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