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「見舞いに来たよ」
しかし、耳を澄ましても雷鳴で応答が聞き取りずらかったこともあり。ゆっくり部屋のドアを開けて様子を伺うと、スフォームがベッドから上半身を起こして待機していた。
「具合はどう?」
「……早かったな……」
「ストームとウォームを説得して、鳳炎に乗って来たんだ。途中ガルパとか言う大物に遭遇してビックリしたよ」
土産話がてらに報告すると、スフォームは驚く様子もなく。小声で「そうか」と相槌すると、何か別のことを考えているのか。長い横髪で顔を隠したまま項垂れた。
「辛いようだったら横になった方がいいよ」
「フレムが看病してくれるのか?」
「医者に見てもらった方が一番だと思うけどね。ちょっと手を貸してみせてよ」
日頃の行いなのか、過去の功績のお陰か。
俺がベッドに腰掛けて要求すると、切羽詰まった様子を伺わせるスフォームは、差し伸べた手に右手を差し出して問う。
「それだけで分かるのか?」
「大体の予想はついてるからね」
見るからに疲労困憊といった顔色に、見かけによらず手首が細く。指先が冷えて、体温が低い事から悪い予感がする。
ーー相手は魔族だ。
ウォーム達の話によると、肉体の持ち主であるラーリングはほとんど浮上しないと聞くし……。魔族であるスフォームが、人間の肉体を維持するために必要な行為をどれだけ知っているのか疑問に思った。
「ねぇ。俺は1日3食たべるようにしてもらってるけど……。スフォームは1日何食たべてるの?」
すると俺と目が合ったスフォームは、スッと視線を泳がせ__。
「昼を夕食と一緒に食べても1食だからね」
スフォームが答える前にカウントする条件を付け加えると、何か言おうとしていた口が閉ざされた。
「ついでに言うと、吸収出来る養分は限られてるから。まとめて食っても、人間の身体は1食分の栄養しか吸収しないよ」
「そうなのか」
そこでようやく過ちを理解したようで、スフォームは空いた手を顎に添え__。
「手っ取り早い解決策としては、点滴による栄養補給なんだろうけど……。異世界だから、地道に消化の良いもんを食べてくしかないね。胃が小さくなってるだろうから、無闇に食べても逆効果だから」
俺は、彼が考えてそうな事を指摘。
案の定、図星を刺されたスフォームは困った様子で問いかける。
「打つ手はないのか?」
「そう言われても、日頃の積み重ねで栄養失調になったんだから。月日をかけて改善するしかないよ。誰かに生活習慣見直した方が良いとか、言われなかったの?」
いくら苦手意識があるとは言え、ラーリングを気にしてるぐらいなのだから肉体の心配もしてそうだけど……。黙ってしまったスフォームの反応からして、戯れ言ぐらいにしか思っていなかったらしい。
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