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「体調が良くなっても、ラーリングさんが目覚めない理由の１つとして、魔力不足が考えられるのではないですか？」
そう言えば、ラーリングは死神キアの所有者として魔力を与えてる身だ。
ネックレスを拾った現場からして、何かしら面倒事に巻き込まれたとしたら＿＿。
「それなら身体を共有しているスフォームが、弱ってるラーリングに魔力を分け与えることは出来ないの？」
「それは難しい話だな」
「人間と魔族の魔力は、根本的に違いますからね」
「そうなんだね」
ならば俺なんかより、魔力の扱いに慣れているウォーム達に頼った方が良さそうなもんだけど……。よく考えてみれば、彼等の姿・魔法は、スフォームの魔力で維持している。
つまりスフォームの魔力を行使することで、ラーリングと共有している身体に負担がかかってしまったら元も子もない。
「因みに鳳炎から融通してもらう気は？」
「ない」
ーー即答ぉお！！
まぁ信頼関係が成り立ってないと、身を委ねる事なんて出来ないだろうけど……。
ーー素人に任せるか？ 普通。
守護竜である鳳炎は、主の命令なら聞いてくれそうだけども……。背後に私も嫌ですという文字が見えたような気がした。
「御主人。失敗されても有り余る御主人の魔力が消耗されるだけで、例外を除いて相手の命を奪う魔法ではありません」
「例外？」
「吸収と言われる魔法や特殊能力を使われた時だ。ラーリングが私の魔力を使って、ある程度の闇魔法が使えるのも吸収のお陰だが、基本的に本人の意思が必要な能力だから問題はない」
「あー、月の民ならではの能力だね」
甦った知識によると、光の民の突然変異とは言え。発光と言われる放出能力が一般的の光の民とは真逆体質のため。魔族と同一視され、忌み嫌われている月の民。
魔族が宿ってしまうのも、そんな体質故の特殊能力なのではないかと言われているが、まだ分かってない多く。偏見な目で見られがちではあるものの、魔族の魔力を扱えるからといって、低温気質ではないことから体調不良に陥り易いんだとか。
そうなると、高温気質の魔力摂取が必要不可欠。おまけに月の民の魔力回復は遅く、手遅れになるケースが殆どらしい。
「それなら悠長なこと言ってられないな」
初めて俺と会った時も、スフォームの力を借りていた。もし頻繁にスフォームの力を借りるようになっていたとしたら＿＿。
「やるだけやってみようか」
今なら鳳炎が監督してくれるし、記憶がないからと逃げてばかりいては、そのツケが倍になって返ってくるだけだ。
こうなったら、スフォームから聞いた情報で甦った記憶を頼りに実行するしかない。
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