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「WPに相談は?」
「したで」
「手助け出来ない立場だから、身の危険を感じたら遠慮なく魔法を使うよう言われたぐらいだけどね」
「じゃあ救世主を追っ払うのに魔法使うのはアウト?」
ウォームの言い方では、あくまで正当防衛に魔法を使えとしか解釈出来ない。確認のため尋ねてみると、ウォームにアイコンタクしたストームが質問に答える前に言う。
「言うとくけど、ワイ等は手を貸せる程の魔力はないで?」
「雲を蹴散らすぐらいなら俺でも出来るよ」
「それなら確認してみようか?」
「結構厚い雲やで?」
「そこは魔石の力を使えば多分いけるよ」
簡単に言ってのけるが、それはあくまで救世主を倒すのではなく。上空の雨雲を吹き飛ばすだけの行為に利用するからだ。
「せやけど、此処にあるんは風の魔石やないで?」
「俺が必要としてるのは、多少なりとも蓄積されてるウォームの魔力の方だよ。閃光弾みたく空を明るくすれば、ビックリして立ち去ってくれるんじゃないかと思って」
「それなりに考えてはいるようだね」
再び炎の魔石を使う事に、難色を示すんじゃないかと思ったけど……。俺の考えを口にすると、ウォームが理解を示したところから魔石を使う事に抵抗はなさそうだ。
「問題は相手を怒らせる可能性が十分あるから、Liderがどう思うかなんだけど」
「それも確認する他あらへんな」
「鳳炎とラーリングへの説明は?」
「俺がするよ」
我関せずを決め込んだWPと必要性を訴えれば説得出来そうなLiderに対して、俺の安全を第一に考えそうな鳳炎とラーリングは反対される可能性が一番高い。ましてやラーリングと仲が縺れてる二人に任しては、仲間割れに発展しかねないので。
部屋へと戻った俺は、留守を預かっていた鳳炎とラーリングに事のあらましを伝え。都合が悪そうな事はテレパシーで説明し、今からやろうとしてる事を納得してもらった。
「でも、こんな形で皺寄せがくるなんて」
「ラーリングの所為じゃないよ」
「でもフレムさんの守護竜である鳳炎さんを引き続き護衛としてお借りるのは__」
「龍碑と竜祈を護衛として喚ぶから大丈夫だよ。ラーリングは、大型犬好き?」
「御主人、せめて狼扱いしてあげて下さい」
「どう違うんですか?」
「気持ちの問題です」
悪気のないラーリングの質問に、説明に困った鳳炎は誤魔化したけど、飼い犬に比べたら野性味があるので否定はしない。
「喚んでみようか」
記憶が確かなら、彼らも鳳炎と同じように体長を変える事が出来たはずだ。食事で利用する机や椅子を少し動かしてスペースを作ると、控えめの扉をイメージするために声量を落として詠唱する。
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