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「それとWPは、ワイ等の事より身内の事で揉めてるようやで。フレムが時空警察に絡まれた言うて、ワイがチクった所為やけどな」
「嫌な顔されなかった?」
「いんや、むしろ感謝されたで。一部の連中がワイ等を検挙したい余りに勝手な行動をしとるらしいんやけど、なかなか尻尾出さんで苦労しとるみたいやで」
それを聞いて、これから起こりうる最悪な事態を想定した俺は、今の内に恩を売るのも有り難いだと考え。今まで積み上げた信頼を盾に、咄嗟に閃いた作戦を実行する。
「ムグルが相手だったの?」
「いや、アリアス上司やったわ」
「頼めば呼び出してくれるかな?」
「そら居ったら呼び出しぐらいしてくれるやろ。ムグルに用があるんか?」
「うん。アリアス上司の事、あんま知らないから話しずらいだけなんだけどね」
嘘は吐いてないが、ここでストームに話す内容を教える訳にはいかないので。困った顔で助けを求めると、ストームは詳細を聞くことなく提案してくれる。
「ほんなら、ワイがアリアス上司に頼んで繋いだるわ」
「いいの?」
「フレムが人見知りなのは知っとるからな。その代わりWPに出てけ言われても、同席させてもらうで?」
「いいよ」
隠したところでどうせ知られる事だし、又聞きで知られた方が印象が悪くなるだろうと思った俺は、後で怒られる覚悟で承諾。
そこで早速ウォームにテレパシーを送ったストームは、現状を確認して避難誘導にまだ時間がかかるようだからと、別棟の通信室を利用して再度WPに連絡を取ってくれた。
それも背後に俺を隠した状態で、アリアス上司にムグルと代わるよう要求したストームは、ムグル本人が来たことを確認してから席を譲ってくれる。
[これはまた。ストームさんからの呼び出しで何事かと思えば、フレム君がいるとはね]
「アリアス上司には頼みずらくて……」
[そう言えば、代表会議で1回しか見たことないもんね。どうしたの?]
「ちょっと調べてほしい人がいるんだよね」
そう言って俺は、ズボンのポケットに隠し持ってた折り目がついた名刺を出した。
印字された文字や写真は無事なので、カメラに近付けさえすれば読めるはずだが__。
[どうしたの? それ]
「ストームの施設に来た、時空警察の人の物だと思うんだけどさ。落とし物にしては、わざらとしいから調べてほしくって」
[__ちょっと待っててね]
直ぐに調べられるものなのか、ムグルは一旦席を外した。メモをとっていたようだから、警察官であれば誰でも閲覧出来るものがあるのかもしれない。
一方、そんな落とし物の存在を知らなかったストームがテレパシーで注意する。
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