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「随分とご機嫌だね、ストーム」
「後で教えたるわ」
食堂の前で待っていたウォームは、鼻歌混じりに戻ってきたストームの返答を聞くや否や俺を一瞥。どうやら説明しなくても、俺が関わっていることはお見通しのようだ。
「それより避難誘導の方は出来たんかいな」
「まぁね。ウェイクの施設と違ってLiderに所属してる人が大半し、今回輸送機は屋上に停めてないしね」
「そうなんだ」
ということは、地上に整備されてるヘリポートを活用してそうだけど……。
録に屋外へ出た事がない俺は、その話を聞いて問題ないと判断するしかなかった。
「それと記録係には、手を引いてもらうようお願いをしといたよ。録画機器設置しても魔法の影響で壊れそうだし、フレムの守備を外野に回す訳にもいかないからね」
「記録係?」
「要はワイらのお目付け役や」
「手は組んではいるけど、Liderもまた施設の動向を疑っているんだよ」
ーーだろうな。
俺が知らないだけで、当初隔たりを感じていたから何も無い方が可笑しい。
「今すぐ実行するんか?」
「ひとまず空の様子を見てから決めるつもりだけど……。救世主の居場所って、素人が見ても分かるものなのかな?」
実は、渡り廊下から外の様子をちらっと伺いはしたものの、分厚い雲に覆われた空しか拝むことが出来なかった。
実行の有無を尋ねてきたストームの話を思い出す限り、遭遇したガルバより大きな図体は予想出来るけど__。
「報告によると、山の内側を旋回するように飛んでるとか」
「施設上空は通過しとらんみたいやで」
「じゃあ放つなら真上がいいのかな?」
正確な大きさや生態が分からない以上、直接刺激を与えるような場所に魔法を打ち込まないようにするしかない。
「やる気まんまんやな」
「二人分の魔力を分け与えた後なんだし、休憩を挟んでからでもいいんだよ?」
「……俺、そんなに体調悪そうに見える?」
無理をしてるつもりは無いどころか。
久々に出歩けていることから、忙しくても嬉しさが勝ってたりするんだけど__。
「余計な心配やったようやな」
「屋上に行こうか」
「うん!」
念のため二人に確認すると、気遣ってくれただけだったようで。救世主を追っ払うべく、俺達は屋上へと足を向けた。
しかし、作戦を伝えて一時間も経ってない事に気が付いたのは、屋上に向かう俺達を見つけたLiderの反応である。
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