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余り気が進まない表情で、コップに残った聖夜の水を眺めていると、今度はテレパシーで鳳炎が俺の体質を踏まえた貴重な情報を教えてくれる。
(御主人の場合、天魔の体質ですから。通常濃度を飲むと、炭酸が抜けたサイダーのような味が正常ですよ)
(じゃあラーリングに注文してたものって)
(恐らく、普段炭酸ジュース代わりに飲めるからで。魔毒に犯されるような行為に及ぶ時は、通常の代物を愛用してたのではないでしょうか)
つまり健康体で飲む用とは別に、実務用として通常濃度を注文していた可能性があるってことだ。
「試しに飲んでもいい?」
「今の御主人なら大丈夫かと。ラーリングさんは、通常濃度でそれならダメージになりかねませんので。味見は私にお任せ下さい」
「お願いします」
その結果、鳳炎が飲むとレモン水レベル。
俺が飲むと三ツ〇サイダーの味がしたので、秘密裏にサイダー代わりに使ってた可能性が浮上する。
(贅沢だな、昔の俺)
(貴族ですからね)
【月の出/完】
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