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死ぬかもしれない行為に及んでいたから、さすがに俺と会って話すぐらいで解決出来る問題とは思えないけど……。人型になった鳳炎が答える前に、来訪者の気配を察して部屋のドアに視線を向けた。
(ウォームさん達ですね)
(達?)
複数形からして、何かやらかしたのではないかと不安になるけど……。ノックを受けて、照明を付けた鳳炎が部屋のドアを開けた。
「起きてる?」
「ちょうど今起きたところですよ」
しかも髪ボサボサなんですけど……。
鳳炎はそんな主の身形に構わずウォームを通し、続いて入室して来たウォーターが、上機嫌にスキップでもする勢いで俺に尋ねてくる。
「やっほ~♪ フ~レムちゃん! ラーリングにどんな魔法かけたの?」
「魔法?」
俺は彼に魔力を与えただけで、魔法をかけた覚えはないんだけど……。心当たりがないとはかりに、俺が眉間にシワを寄せ始めたところでウォーターが補足する。
「物の例えよ。さっき会って来たんだけど、ラーリングの姿でスフォームの魔力を感じないなんて久しぶりよ」
「てことは、皆気付いてはいたんだね」
暫く記憶が無くて、魔力を感じる知識すら忘れてた事から注意のしようもなかったけど……。
解決策は至ってシンプル且つ単純であった。
「俺は念のため魔法を使って見せてほしいって、お願いしただけだよ」
「ホントに?」
「ホント、ホント。それより喧嘩の原因を聞き出せないまま寝落ちしちゃったけど、仲直り出来そうな感じだった?」
軽い口調で俺を疑うウォーターに、仕返しとばかりに気になってる事をストレートに尋ねると、返す言葉もないとばかりに静寂が部屋を支配した。
――まぁ何となく分かってたけどね――
ウォームに視線を向けると、黙って目を泳がせたところからして和解出来なかったんだろう。
「鳳炎から聞いたけど、会いはしたんだよね?」
「えぇ、会ってきたわ」
「仕事の一貫としてだけどね」
つまり和気藹々とした雑談をする事なく、報告として必要最低限の会話しかしなかったようだ。
ウォーターの言葉を補足したウォームの言葉を聞いた俺は、小さな溜息と共に肩を落とす。
「気の長い話になりそうだね」
「でもフレムちゃんのお陰で前進したと思うの」
「仲介役として、君に頼る他ないだろうけどね」
「それは構わないよ。ところで何かあったの?」
急いてる様子はないにしろ、単独で見舞いに来る事が多いウォームが、ウォーターを連れて来た事に違和感を覚えた俺は話題を切り替えた。
するとウォームは、腰に手を当て「察しがいいね」と前置きしてから経緯を語り始める。
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