第72話/これからの期待と不安

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「実は、フレムが寝てる間に森の様子が一変したんだよ。体調が良さそうなら、見習いの一環として、探索の護衛に付き合ってもらおうと思って」 「ほら、私達だけじゃ肝心な事を聞き出せそうにないでしょ?」  つまり今の立場を活かして、Liderの動向を探れと言う事だろう。ウォーターの言う通り、この世界の事をよく知らない俺の方が、何質問しても不思議に思われないだろうけど……。 「不満ならスフォームかラーリングに相談するといいよ」  寝起きが合間って、怪訝な表情を浮かべてしまったようだ。ウォームに言われて我に返った俺は、慌てて言葉を返す。 「へ!? いや、不満とかじゃなくて……。目的地まで歩いて行くなら、龍碑と竜祈も連れて行った方が良いかなぁ? と思って」 「あら。てっきりラーリングの護衛として、留守を頼むもんだと思ってたわ」  けどラーリングの調子が悪い以上、〈カードに封じられし者〉である二人が本調子とは言えないし……。野外に出るリスクを考えると、鳳炎だけではフォローが難しいだろう。 「とにかく僕らの権限で変更出来る事じゃないから。ラーリング、もしくはに直接申し立ててくれないかな」 「今直ぐの出発じゃないんだね?」 「さすがに昨日の今日だからね。フレムの体調を気遣って、Liderも二三日ぐらいなら待てるって言ってくれたんだ」 「信頼されてるわね」 「どうだろう?」  単にぶっ倒れても困るからだと思うけど、気遣ってくれるのは有難い話だ。やる気を出してベッドから抜け出すと、早速これからの予定を考える。 「とりあえず着替えて、ラーリングの顔を見てから考えるよ。それとも外の様子を確認してからの方がいいかな?」  そもそもの状況が良く分からないし、単純に護衛するような話で済むのかも知らない。  ただLiderが探索に意欲的なら、珍しい事象であることには間違いないだろう。俺の問い掛けにウォームが少し考えてから答える。 「まぁ手順としては、外の様子を確認してから意見するべきだと思うけどね」 「でも部屋の窓から確認出来ることじゃなかったし、一度相談してからでもいいんじゃない? 指示はラーリングが代弁する形だったわ」 「じゃあ食事に誘ってから、屋上に行ってみるのもありだね」  案外昼食を食べてる頃合いかもしれないけど、起床したことを報告してから屋上に向かっても怒られるような事はないだろう。
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