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「ウォームから聞いたんか?」
「いや、そう言う訳じゃないよ。ただフレム君の側にいる人物で、幹部以外の名前はグレイ君しか聞かなかったからね」
「ほんなら下手に誤魔化さんでおこうか」
「人員を増やす予定は?」
「今んとこあらへんけど、Liderからのラブコールは相変わらずやで」
ーーそうなんだ。
俺からキッパリお断りを入れれば、済む話なんだろうけど……。余計な事を言って、角を立てても面倒なので黙っておく。
「それはフレム君から頼まれたとは言え、嫉妬されそうな予感しかしないね」
「板挟み食らうよりはえぇと思うで」
--それは俺の事ですか?
慕われるのは有難いが、どちらかを特別扱いすると喧嘩になるのが分かっているので、これでも結構気を遣っている。
WPが絡むと真っ先に疑ってくるストームと、施設の在り方を疑問視してるムグルに挟まれた俺は、先が思いやられるとばかりに溜め息を吐いた。
「ところでLiderは、何時まで君達を足止めするつもりでいるのかな?」
「何時頃騒動が起きたの?」
「昼前や」
誰となくムグルが尋ねたようだが、襖の向こうに誰かいるのだろう。俺がストームに質問すると、肘を付いて軽く答えたストームも襖の向こう側を気にした。
「それじゃあ今日中に話が聞けるとは、思わない方がよさそうだね」
「帰るの?」
「まぁボク等WPPOは、フレム君が助けを求めてきたから手を貸しただけだからね。電話をくれたウォームさんと入れ替わりで帰ることにするよ」
「なんや、ウォームの提案やったんか」
「うん、知らない人に付いて行くのは怖いだろうからって」
子供扱いされてるとしか思えないが、此処は異世界。魔法が使えるからと油断しては、グレイのように狙われかねないからだろう。
話を聞いたストームも、それならばと保護者代わりに礼を述べる。
「そらおおきにな! WPもたまにはえぇ仕事してくれるやないか♪」
「フレム君には借りがあるからね。でなきゃ丁重にお断り申し上げてたよ」
「そうなの?」
「ボク等WPは、あくまでこの世界に迷惑をかけてる同郷者が相手だからね。もしグレイ君を始末するために、ストームさんが一役かってたら別だけど。今回は、どう考えても厄介事に巻き込まれた感じでしょ? グレイ君を狙うのに、よりにもよって来客日に決行するなんてね」
「ほんまやで。騒動にならんよう、お忍び対応にしてもろうたんやけどな」
ーーあれでか。
そもそもお忍びなら、国賓なんて目立つ要素しかない待遇いらないんですけど……。
箝口令でもしかれているのか。
物騒な出来事があったにも関わらず、二人の話を聞きながら茶菓子を摘まんでいると、御遣いに案内されたウォームが顔を出した。
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