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現にWPは、この世界に無い技術で通信を行い。
時には身を守るための武器として、使用してるのにお咎めがないのは変である。
「まぁ念の為、カモフラージュはするつもりけどね。腕輪なら媒体があれば出来そうだし」
ーーとは言え、あくまで思い出したのは知識であって経験ではない。試しにワーク・ディスクに無雑作に置かれた綴り紐で腕輪作ろうと思い立った俺は、所有者に許可を求める。
「ウォーム、使ってもいい?」
「それは構わないけど……」
「そんなもんで出来るんか?」
「思い出した知識が正しければ出来るよ」
恐らく末永く使えるアイテムを作るなら、もっと頑丈で特別な素材を使用するんだろうけど……。
今回はその場しのぎの簡易的な物で十分だ。
疑問視するストームに応えた俺は、綴り紐を自身の手首に軽く巻いて。大まかなサイズ調整を始めるが、なかなか上手くいかず――。
「直接やった方が早いやろ」
度胸があるストームが利き手を差し出したので、遠慮なく綴り紐を手首に巻いて。微調整を行った後、寸止めした風魔法を魔力として紐に馴染ませ。
形状を粗方決めてしまうと、2度目の寸止めした風魔法を魔力として上乗せして結晶化。更に粗を取り除く為に魔力をコーティングして完成させた。
「以前俺を助けるために使用した魔法なら、確実に3発は撃てるはずだけど。長期戦になると不利だから、防衛による時間稼ぎでギリギリの耐久性かな」
「……。」
「ストーム? 気に入らないなら作り直すよ」
「へ!? いや、コレで問題あらへん。大丈夫や」
随分凝視してるから声を掛け直してみると、彼は慌てて腕を引っ込めて否定した。
(色が悪かったかな?)
単純に俺の魔力で作ると様々な属性が使えてしまう事から、風の民であるストームの属性に合わせて構成した結果。色は水晶のような半透明となった。
それとも腕輪のデザインがシンプル過ぎる事から、己の美的センスを疑い始めたけど――。
(そうではないと思いますよ)
俺のテレパシーを受信した鳳炎が横から助言。
それを証明するように、作ってもらった腕輪を触って確かめているストームに鳳炎が声を掛ける。
(ストームさん、使い方はご存知ですか?)
「あ、あぁ。せやけど同属性やから、自身の魔力で生成される魔法と区別つかへんのがな」
「ストームの場合、半透明から白く濁るよ」
話を聞いて不安要素に気付いた俺は、目に見えて分かる使用感を伝え。それを知ったストームは、「ホンマか?」と疑いながらも早速室内にそよ風を起こして腕輪の変化を確認。すると、安堵した表情を浮かべてから嬉しそうに感想を述べる。
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