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「こりゃえぇわ! 何か言われても誤魔化せるで」
「因みに壊れるまでにチャージすれば、繰り返し使えるから。ヒビが入ったら教えてね」
「そら随分エコな作りやな」
「媒体が紐だから、耐久性に不安が残るけどね」
それも異世界の代物となると、使ってみなければ分からないというのが正直なところだ。
「次、ウォーターのを作りたいんだけど……。紐、まだある? 3本くらい欲しいんたけど」
「あるよ。僕のは何本で作る気?」
「二本かな。でも特殊だから、構成に悩む」
ひとまずウォームから5本の綴り紐を受け取ると、内3本を使用して三つ編みを制作。少しでも洒落たモノをと思っての事だが、媒体として使用するから出来は作ってみないと分からない。
「フレムちゃん、器用ね」
「そうでもないよ。三つ編み出来ても、イメージ通りに出来るかは別問題だからね」
――と言うのも、紐は黒ぽい焦げ茶。
風属性は、紐を軸に白っぽい結晶が精製されたから気にならなかったけど……。果たして水属性は?
差し出された手首に、媒体となる紐飾りを調整してからの一発目。尽く失敗して、媒体もろとも砕けちった腕輪は水滴となって消えた。
「ゴメン、怪我しなかった?」
「大丈夫よ」
「素材がアカンのとちゃうか?」
「そんなことは――」
でもストームに言われて、思いた当たる節があったので作り方を変える事にする。
「ウォーム、風呂場にある桶を貸してくれる?」
「いいよ。素材は?」
「そのままでいけると思う」
急ぎ席を立って風呂場から水を貯めてた桶を持って来た俺は、残っていた2本の綴り紐と再び用意してくれた綴り紐1本を束ねて三つ編みを作り。それを桶の水に浸け、浸透した頃合いを見計らって魔力を注いで完成させた。
「思った通りだ」
風属性の腕輪と違って柔軟な仕上がりではあるが、試しに使用してみると半透明に結晶化し、魔法を使用しない時は柔軟な紐状に戻った。
「一回の魔法で、この施設を覆うぐらいの水量は出ると思うけど……。切れたら寿命だと思うから作り直すね」
「それは素材の所為?」
「うん。刺繍糸なら、もっと水を含んで丈夫に出来るかもしれないけどね」
何より味気ない綴り紐より洒落たミサンガが作れる刺繍糸は、願掛けアイテムとして英里の学内では人気だった。
まぁ無い物強請りしても仕方ないので、出来上がった飾り紐をウォーターの手首に巻いてあげると、気持ちを切り替える。
「さて、残る問題はウォームの素材だな」
試しに余った綴り紐に魔力を注いでみるが、案の定必要魔力に到達する前に燃え尽きてしまった。
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