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(深夜帯なのに話がついたの?)
(御主人の名前を出したら、すんなり話が通ったそうですよ)
――それは大丈夫なのか? 色んな意味で。
人型から小型ドラゴンへと姿を変えた鳳炎を肩に乗せ、慣れたようにテレパシーで会話しながらも、全力で突っ込みたい気持ちは胸内に抑え込んだ。
(誰も疑問に思わないのかな?)
(もしくは、誰も疑問に思わないよう手を回されてるとしか考えられませんね)
(うわっ。それ、怖いヤツだね)
恐らく一般社員並のLiderに尋ねても、上からの指示に従ってるだけとしか言われないだろう。
だからと言って、大物クラスを問い詰める度胸はないので知らんぷりするつもりだけど……。
(WPに知られたら、黒幕扱いされそう)
(それはありませんよ。されたとしても、すでに黒幕を突き止めていますから御安心下さい)
(そうなの?)
でも黒幕を捕まえてたら、こんな苦労をする必要はないはずだし……。犯人分かってるけど、手出し出来ない領域にいるのだろう。
――引き際、どうしようかな――
明らかに想定以上の厄介事に巻き込まれつつあるので、WPPOとの繋がりを強化しといた方が懸命な気もするけど……。そんな事を考えてた矢先、道中のエレベーターでLiderの研究員と遭遇し、気不味さの余りエレベーターから降りるまでテレパシーをする余裕がなかった。
(そう言えば、WPから連絡は?)
(今のところありませんね)
(クレームの1つは言ってきそうなのに不思議だね)
(言われてみれば、そうですね)
我ながら予想以上の威力で魔法をぶっ放したため、事前予告したとは言っても何か言われそうな気がしたんだけど……。もしかして、アチラも内部抗争真っ只中だったりするんだろうか?
鳳炎に(手土産の所為かな?)と聞いたら、察したように(そうかもしれませんね)と返ってきた。
そして、深夜帯の事もあって寄り道することなく通路を歩いて行くと、日頃の行いの所為か。はたまた目立つ服装故なのか知らないけど、俺が相手を知らなくても目を合わせただけで、屋上へと続く扉の通過を許すとばかりに敬礼してくれた。
(嬉しいけど、警備的にどうなんだろう?)
(都合は良いですけど、後が怖いですね)
責任転嫁されてはたまったもんじゃないけど、今は森の変化をこの目で確かめるために軽く敬礼を返して移動。数時間前、ストームと一緒に見下ろした地点に赴くと、まばらだった白の領域が群生を成し始めていた。
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