13人が本棚に入れています
本棚に追加
「因みにLiderの事で聞きたいことがあったら?」
「呼び出してくれて構いませんよ。お答え出来るかは別問題なので」
――うわっ、捻くれた答え。
恐らくウォーム達に対してもそうなんだろう。
だけど裏を返せば、別に個人の質問じゃなくても構わないという事だ。
「じゃあ今回の探索についてなんですけど、Liderに中止の意向はないんですか?」
「それなんですが……。自分のような他人の命を預かる者としては、延期にしてもらいたいぐらいです。明らかに様子が可笑しいですからね」
――ですよね。
口に出して言わなかったけど、相手が自分と同じ価値観である事にちょっぴり安堵した。
「個人的には、行くにしても少人数。普段から森の調査をしてる人、もしくは多少なりとも身を守る術を持ってる方だと心強いんですけどね」
「それなら1名程心当たりがありますが……。フレム様は、女性同伴でも気にされない質ですか?」
「えぇまぁ、気にしませんけど」
というか、数ヶ月前まで女性だったし……。
性別が変わってからというもの、イケメンとは言え男ばっかの付き合いで気持ち疲れてたところだ。
「でしたら、出発予定の時間までに何とかなりそうです」
「研究者でもないのに口が挟めるんですか?」
彼は初動隊だと言ってた気がするけど……。
プレートの文字が読めない今、ちょっとした違和感から突っ込んで尋ねると、相手は営業スマイルで誤魔化しにかかる。
「フレム様の名を出せば一発です」
「俺、そこまで偉くなった覚えありませんけど?」
「それだけ目に見える形で功績を残していると言うことですよ。それでは、また後程」
――逃げるの上手いな。
これ以上はボロが出ると判断したようで、話の区切りを付けたオリバーは、俺に向けて敬礼して直ぐ退散。印象は悪くないが、どうも勘繰ってしまうのは都合が過ぎる話題の所為だろう。
(御主人、いかがされましたか?)
(いや、どうにも胸騒ぎがするだけだよ)
根拠がないから説明に困るけど――。頬を撫でる風の流れを辿るように空を見上げると、黙って様子を見ていたであろうストームの姿があった。
【実績と成果が齎すもの/完】
最初のコメントを投稿しよう!