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「よぉ、待ちくたびれたで」
「言ってくれるね」
面倒な方を押し付けられた挙げ句に、報告もなければ連絡や相談もないまま、グレイをWPに預けてしまったからだろう。口角をひきつらせたウォームがストームに言葉を返すと、次にタイミングを見計らっていたムグルがウォームに話しかける。
「お疲れ様。悪いけど、入れ替わりでボクは退散させてもらうよ。これ以上首を突っ込んでも良い事なさそうだからね」
「ごもっとも」
「フレム君は、安全が確認出来たら連絡して。グレイ君の事があるから」
「分かった」
するとムグルが別れ際に「それじゃ」と言ったところで、控えていた御遣いが送迎を申し出。何の問題もなくムグルが退室したところを見計らってから、ウォームが俺の真向かいに腰を下ろした。
「ひとまず決着は付いたんか?」
「まぁね。黒幕に天罰が降ったそうだよ」
「天罰?」
この世界に神様はいないはずだが……。
俺がオウム返しすると、ストームが険しい表情で「どういう意味や?」とウォームに尋ねたところで説明が入る。
「それが何の前ぐれもなく結晶化して、死に至る現象を〈天罰〉と言われてるそうだよ」
「まるで口封じにおうた言い訳やな」
「それを確認して来たから遅かったの?」
死人に口無しの状態なら、どんなに過程を求めても遺留物から想像を膨らませるか。現状確認するぐらいが関の山だろう。
尤も此の世界は、遺体が鉱物となってしまうため。その現象に立ち会わないと、誰かすら分からないだろうけど……。
俺がストームの発言の後に質問すると、ウォームは「否」と否定してから答える。
「そもそも此処は異世界だから、言い返したところで物事が拗れるだけだからね。詳細は明日、謝罪のためルシウェルさんが来てくれる事になったから聞くと良いよ」
「グレイがいないのに?」
大体俺は現場を知らないし、実際害を受けた訳でもない第三者だ。謝るなら突然の出来事に驚いて、事態が飲み込めぬまま自宅を離れる事となってしまったグレイにするべきだと思うのだが……。
「恐らくLiderは、フレムに反感を抱かれるのが嫌なんだろうね。直接被害を受けたのはグレイだけど、狙われた理由がフレムにあった場合、反旗をひるがす行為だから」
「用は敵に回しとぉないだけやろ」
「どうも自覚がないようだけど、それだけの利益をフレムはもたらしているんだよ」
ーー出費の間違いでは?
仲を取り持ちはすれど、俺の提案は生産性がない。それでも俺を必要とする理由があるとすれば、裏しかなさそうである。
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