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「せやけど、ワイから見てもフレムが手綱を握ってるようにしか見えへんで」
(ラーリングを味方につける方が大変やのに)
「それは付き合い方の問題じゃないの?」
(自殺行為に及ぶ程思い悩むなんて、そうないよ)
すると途端に愛想を止めたストームが、暗い影を落として口を固く結んだ。具体的に話さなくても、薄々ラーリングの行為が自殺に近いことぐらい勘付いていたらしい。
「て言うか。お互い相手のこと心配してるのに、意地の入り過ぎだよ。一緒に帰れなくなったら、さすがに俺も怒るからね?!」
「一緒に?」
「俺の勝手な目標」
(ラーリングは、これから体力つけるんだって)
言って良い事なのか判断出来なかったので、内緒話のつもりでテレパシーを送ると、途端に表情筋を緩ませたストームが腕を組んで応える。
「そうなんか。ワイも負けてらへんな」
(ラーリングにも、その目標言うたんか?)
「気の長い話だけどね」
(言わなきゃ居なくなりそうだから伝えたよ)
それに誰かが、口にしないと現実にならないと言っていたのを思い出した。声に出すと言霊となって、自分に返って来るものだから――。
「あっ、それと探索を終えたらウェイクの様子を見に行きたいんだけど。レディウスさんは、まだウェイクの施設で仕事してるのかな?」
「そのようやで。もうそんな事まで考えとるんか」
「まぁちょっと、ラーリングに気になる事を教えてもらったからね。この目で確かめてみたいんだ」
そもそも救世主と呼ばれるメシアについて知らない事が多すぎるから、今回の探索で出来るだけ多くの情報を集める必要があるけど――。
「なんや。また根拠がないから教えらへんのか?」
「そんな事ないけど……」
(Liderの耳に入ったら騒ぎになるからパス)
(あ? なんやそれ)
「けったいなやっちゃな〜。こうなったらウォームの部屋に戻るで! 暇潰しに聞いたるわ」
「暇潰しって」
Liderの人達が夜通し警戒に当たってるのに、何たる言い草だろう。しかも俺の右腕を逃さないとばかりに鷲掴みにしたストームは、屋上から通路へと歩み進めながらウォームをテレパシーで呼び出しているようだ。
「探索の後にしない?」
(ウォームはさっきのオリバーさんと打ち合わせでしょ?)
「そんな悠長なこと言っとる場合か」
(ワイ等の知らんとこで騒ぎになる方が迷惑や)
――御尤もです。
恐らく聞き耳を立てていたLiderの人がレディウスに報告して、タイミング図って俺に尋ねてくるパターンになることだろう。
そうなったら、下手に隠すより話してしまった方が良好な人間関係を維持出来ると考えて、ストーム達に話す前に暴露してしまう事だろう。
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