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そしてウォームの部屋に戻って早々、人型へと姿を変えた鳳炎は茶を出す準備を始め。オリバーを先程俺が座ってたソファーを勧めたウォームは、その向かい側に座るよう俺を促してから隣に座ると、何から話そうかと悩む俺を見て前座を務めてくれる。
「さてと。彼は研究者側の御偉いさんじゃないから、余り無理なお願いはしないようにね」
「――何か必要なモノでも?」
でもウォームはオリバーの質問に答えず、俺に向けてアイコンタクトを送ってきたので、ひとまず悩むのは止めてオリバーの質問に答える。
「実は、風の噂で聞いたことなんですけど……。今回探索する事になった〈白の領域〉で何かしら採取を行う場合、何かしらの許可が必要なんですか?」
「もしや、ストーム様の提案が通らなかった話を聞いて?」
「それもありますけど……。研究者を同行させるから、そうなんじゃないかな? と思いまして」
でなければ、わざわざ危険な場所に非戦闘員を向かわせる理由がないと考えたのは事実だ。
オリバーは小さく「成る程」と呟くと、少し間を置いてから応えてくれる。
「まず白の領域での採取に制限はありません。ただ余所者に横取りを心配してのことでしょうから、御心配なく」
「でも一言研究者に伝えとかないと、トラブルになりますよね?」
「いえ。フレム様の場合、私からレディウス様に相談すれば済む話です。何か理由があってのことでしょうから」
「えゞ。ま、まぁ、そうですけど……」
――俺の場合?――
何か気になる言葉がひっかかるけど、下手な嘘は人間関係を悪くするだけだ。
俺はウォームの視線を気にしながらも、何故採取が必要と感じたのか。オリバーを呼び出す前に、ストームやウォームと話したことを伝えた。
「さすがに〈白の領域〉のメカリズムについては分かりませんけど……。エレクさん、でしたっけ? その方から聞いた話は、自分も祖父母から聞いた事があります。推測とは言え、今置かれてる現状を理解する事が出来ました。助かります」
「でも論より証拠が必要なんじゃないかと思って、ストームに相談したところ、確認した方が良いと言われて……。すみません、朝まで待てなくて」
「いえ、朝一に相談を持ちかけられても困るところでした。ウォーム様、出発を午後に変更しても?」
「一向に構いませんよ」
「では詳細は午前中に。出発前に話をつけてまいりますけど、他に何か必要な物は?」
「あ、採取に必要な袋は?」
「此方で手配しましょう。では、私はこれで――」
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