13人が本棚に入れています
本棚に追加
それでもラーリングを応援したい一心で、俺は「手を貸して」と伝えると、差し出された右手を両手で包み込むように握ってから魔力供給を行う。
キアの状況が分からないにしても、このままではラーリングの方が先にギブアップしてしまうだろうし、どのみちWPPOと接触する必要がありそうだ。
「ひとまず無理のない範囲で探りを入れてくれると助かるんだけど、いいかな?」
「こんな自分でもお役に立てるなら勿論ですよ。キアの身に何かあったのは明白ですし、相手の目的が分からないのも怖いですからね」
「確かに……。でもスフォームに相談した?」
肉体を共有してることもあって、危険な事は真っ先に反対しそうなものだけど……。ラーリングは、少し間を置くいて俯き様に答える。
「彼に相談するつもりはありません」
「――そっか」
詰まる所ラーリングは、スフォームを疑っているんだろう。それも魔族だからと言う単純な理由ではなさそうなので、俺は湧いてくる言葉を飲み込むように生唾を飲み込んだ。
此処で根掘り葉掘り聞いても、ラーリングが答えるはずがないし、都合が悪くなるだけである。
「無茶だけはしないようにね」
それ以上は言及しないと伝えるように忠告すると、俺は護衛としてラーリングの側に控えていた龍碑と竜祈を引き連れて部屋を後にした。
【完/情報共有】
最初のコメントを投稿しよう!