第75話/地上探索

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 それが事実だとしたら__。  過ちを犯した者は、罰としてアナトになり。  良心を積み重ねた者は、輝石を扱う事が出来る。  ――絵本の通りだな――  共通点があるとすれば、どちらも病に侵され。  一方は治療のため死石を口にしてアナトとなり、もう一方は死を受け入れて崇められた事か。 「因みにその輝石というのは、白の死石とは違う物なんですか?」 「いや、白の死石のことだよ。ただ人の身で、純粋な白の死石になること事態大変珍しいことなんだ」  でも、それだけで崇め讃えるだろうか?  今ひとつ納得いかないのは、矛盾が生じているからだろうけど……。視界に白い木々が見えたところで、一旦考えるのは止めた。今のところ危険はなさそうだけど、白の領域に差し掛かる手前でウォームが引き上げて来る。 「何かありましたか? ウォーム様」 「いや、何も無さ過ぎて不気味なくらいだよ」 「普段ならアナトに遭遇して、戦闘になってても不思議じゃないんですけどね」 「フレム効果かな」  ――どんな効果だよ。  冗談が言えるぐらいの余裕があるみたいだけど、立場を弁えて言ってほしいもんだ。明らかに数人真に受けてる奴がいる一方で、ピブルが持ってきた書物を引っ張り出して説明に入る。 「伝承によると、祝福を受けた土地にアナトは容易に繁殖出来ないようです」 「ん? アナトって、繁殖するんですか?」 「個体にもよりますが、ある一定の大きさに達すると、砕けて増えていくタイプが多いですね」 「へー……」 (ヤバい、ストームのとこ大丈夫だろうか) (そう言う話は聞いていませんけどね)  アナトの新たな生態を知り、急に串刺の刑に処したバルトトスの様子が気になったけど、俺の肩に乗る鳳炎もその手の話は聞いた事がなかったようで。  不安の余りウォームに視線を向けると、俺達の気持ちを察して、にこやかに(問題ないよ)とテレパシーを送ってくれた。 「ところで、祝福を受けた土地って言うのは?」  「恐らく救世主(メシア)が関係してるものかと」  質問してきたウォームにも見えるよう、ピブルが書籍を広げて挿絵を掲げると、それを横から覗いた俺は直ぐに何を指しているのか理解した。  文字は貰い受けた眼鏡をかけてので読めないものの、挿絵から察するに白い潮の影響を受けた土地を〈白の領域〉と呼んでいるようだ。 「今回は、この挿絵に描かれてる〈祝福の欠片〉を回収するのが目的です」 「だったら、もう少し奥地にいかないと難しいと思うよ。此処は施設から近いけど、大きな群生地から離れた場所に位置するからね」
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