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第72話/これからの期待と不安
それから色々聞いてみたい事が山程あったのに、慣れない魔法を使った影響でも出たのか。
うつらうつらと眠たくなってきた俺は、ラーリングに申し訳ないと思いながらも、夕食が届くまで仮眠――。基、昼寝を所望して横になる事にした。
だた三日間幽閉的な生活を強いられていた俺は、与えられた寝袋で寝ていたため。病み上がりのラーリングにベッドを譲って、床で寝るつもりでいたんだけど__。ラーリングがそれを許さなかった。
「セミダブルサイズですから、二人で昼寝するにはちょうど良いですね」
先手必勝とばかりに、ラーリングが断りづらい誘い文句で添い寝を提案されて言葉が詰まる。
(大丈夫ですか? 御主人)
(まぁ長髪で女の子に見えるし、疲労で意識してる場合じゃないから……。大丈夫、かな)
但し、同じ長髪でも人型の鳳炎相手は意識してしまうからダメだ。理由としては、多分筋肉の付き方だと思うけど……。同姓となってしまった今、単なる変態と思われるのが嫌で内緒にしている。
「枕いります?」
「え? あ、大丈夫。ラーリングが使いなよ」
けど風呂入ってないし、ベッドが汚れないよう靴下や上着を脱いで面積を取らないよう端に寄ってから、ラーリングに背を向ける形で横になった。
「フレムさん」
「ん?」
「寝にくいですよね?」
「大丈夫。汚しちゃ悪いし、昼寝するぐらいなら」
「そうですか?」
あからさまな遠慮対応で申し訳ないけど、全く意識してないと言ったら嘘になる。何よりせっかく会えたんだから、もう少し話ぐらい聞いてあげなきゃと思うんだけど__。
「おやすみなさい」
俺の様子から会話を切り上げたラーリングに、言葉を返さないまま気絶したように寝たんだろう。
起きたら見知らぬ__いや、違うな。
家具の配置に覚えがあるので、恐らくウォームの寝室に運ばれたのだと気付いてから頭を抱える。
……やらかした……。
いやもう、仕方ないと言えば仕方ないかもしれないけど……。せっかく夕食まで約束したのに、寝落ちによる強制終了とかカッコ悪すぎである。
寝返りついでに掛け布団を抱き枕代りに顔を埋めると、見張りがてら足元に居たであろう鳳炎がテレパシーで声をかけてくる。
(おはようございます。新記録達成ですね)
(新記録?)
(24時間以内に起床するとは思いませんでした。お昼前ですよ)
つまり夕方に爆睡して、次の日の昼前。
それもランチタイムに間に合ったようだ。
(ラーリングは?)
(あの後、グレイさんと夕食を共にして。今朝方、直接ラーリングさんにお会い出来たと、ウォームさんから話を聞いたところです)
(そうなんだ。仲直り出来たのかな?)
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