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手のなか光るビジュ的未来・参
バカルテットの中では筋肉も脳みそもたくましいマスルの、市役所職員と云う職業。
これが時には、おじいちゃんおばあちゃんや何らかのハンデを抱えた方のケアと云う、天使みたいな仕事にあたっておるのか、と、想像しただけで噴飯モノの現実ももう幾数年。
強面はすっかり定着した。
たくましい体も、市のスポーツ促進会のイベントで大いに役立っている。
なんつーか全年齢と全性別に人気モノな太田マスル兄貴。
まァ、顔立ちのぶん、神様がなんか恵んでくれたんだろうなー、と、ロゼはやさしい目をして鯖みそ定食をかっこんでいた。
「良い女が居ねェな、っとに」
店にすえられたテレビを見たままのマスルのコメント。
「リア充が何言うか。俺なんかこれでフラれたばっかだぞ!」
「なんも言わんと女ほっぽったからいけねェ、て、なんべん言わす。何回だ」
「おまえは今までに喰ったチーズバーガーの数を覚えてんのか?」
「ねェよ。俺も訊くが、おまえは今までに切ったシャッターの回数を覚えとるのか?」
「何万とか‥‥億? 数えきれね」
「女もそんな感じだ」
どうそんな感じかはよくわからん。
ふたりのやりとりを隣席で聞いていたサラリーマンは、食事を終えコンビニで珈琲買って帰社の道すがら、そう云えば俺も何杯珈琲を飲んできたんだろう? と、ちょっと哲学的に意味深な気持ちで午後の仕事へと挑んだ。
インスタント豚骨ラーメンを堪能したシモンとクラフトも、仕事に戻った。
シモンは、ティーン向け雑誌のエッセイに取り掛かる。
『シモーヌ兄さんのおすみつき人生』と云うタイトルで、ゆったり生きてるゲイのシモーヌ兄さんが四方山話を繰り広げる人気エッセイだ。
わかりやすく例えると、そう。
授業の時間に勉強から話がそれて、教師の語りが始まってそれが面白いぜサンキュティーチャ! て、感じにわくわくした、みたいな大きなお友達の語り。
今回は小坊あたりからもう何かしら文章を書いてきたシモンが、過去の二次創作からオリジナルまで、何をどう書いてきたかのびのび語るテーマだ。
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