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ーパチパチパチパチッ
突然、拍手の音が聞こえてきた。
音がする方を振り返ってみた。
「けー先輩!」
「よっ」
けー先輩が手を振りながら、満面の笑顔でこちらに駆け寄ってきた。
けー先輩は、カズトの両手を包み込むように握って、ぶんぶんと上下に揺らして、
「ねえ、君さ。強いね?」
「え?あ、ありがとうございます…」
普段人見知りなんてしない、どちらかと言うと初対面の人でもスッと懐に入っていけるカズト。
だけど、今はけー先輩に圧され気味で。
こんなカズト、見たことないや。
けー先輩、すごい…。
「なにか格闘技してるの?」
「えっと…むかし、柔道を少々…」
「へぇー。こんなに可愛いのに、強いからさ。すっげ、ビビったわ(笑)でも、マジかっけえな?」
あ、ヤバイ。
カズトに、それは言っちゃダメなんですよ、けー先輩!
俺はけー先輩がカズトに投げられると思い、2人の間に入ろうと動いた。
でも、カズトは頬を紅く染めて俯いて、ボソボソとお礼を言った。
え?
カズトが、怒らずにお礼を言った?
「えええええーーーーー!!!」
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