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夫は何かおかしいと気づいていたようだ。帰ってくるなり、突っかかってきた。
「なあ、何やってんだ?30万何に使った?」
「仕事。やる前の契約金。広告配って、注文が入ったら売上の5%もらえるの」
「契約金?そんなの払ったのか?先に金払ってからやる仕事って何だよ?!そんな仕事、あるわけ無いだろ?だいたい、注文なんか来るわけない!騙されたんだよ!」
「来たよ。少ないけど」
「最初に注文があったようにわざと適当に連絡してきたんだよ。その後も入ってくるって思わせるために!その注文だって、こっちじゃなくて向こうの会社に注文がいくなら、本当はどれだけきてるのか、こっちじゃ確認できないだろ?沢山注文があっても、これだけしかありませんでした、だからあなたの売り上げはこれだけです、そう言われたら信じるしかないだろ?向こうの奴らにちょろまかされても、わかんないんだぞ!全く、何してんだ!」
そのとおりだ。返す言葉もない。
確かに本当は10万の注文があっても、私にはわからない。
そうなんだ。騙されたんだ……
騙された……なんて、仕事の契約だよ……
そんな気持ちがほんの僅かだが残っていた。
それから何年もしてから、これは内職詐欺といわれるものだと知った。
ー 内職詐欺 終 ー
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